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記録49『若返り』

リーダー格の男の瞳から、一筋の涙が零れ落ちる。


「あーあ、イネちゃん泣かした―」

「うん……ああ……」


惑は、まるでお決まりのような言葉をイネに向かって言った。

イネは、賢者モードになっており気にしてもいなかった。


「顕著に現れましたねーアルマダさんの姿」

「ああ、凄い」


惑とエレンは、アルマダの姿を見て驚愕する。


「うふふふ、私も若い頃はこんなだったのよ」


嬉しそうにしながら、潤った姿に嬉しそうにしている。

髪は、綺麗な紫の髪を靡かせ、可愛らしいパッチリ二重のグラマーな女性へと変貌していた。


「二人吸っただけなのにここまで綺麗になるだなんて……」

「いやいや、二人の寿命を考えればこの若返りは意外と普通だよ? コイツ等が後30年生きるとすれば60年分若返る、そして以前に聞いたアルマダさんの年齢は79歳! つまりは60年若返り19歳へと変貌する計算だ! 更にネズミの2年を合わせれば17歳! まさにピッチピチ世代というわけだ!」

「ああ……そういう事ですか……そう考えるとこの若さになる事も納得です」


すると、カバンの中から以前は似合っていた服を取り出す。

しかし、アルマダは少し不満そうに見ていた。


「うーん、この服は今の世代には似合わないわね」

「へえ、そういう部分もちゃんと分かるんだ」

「そりゃそうよ! だって私の仕事はそういう移り変わりを調べて考え、そして着こなすのが仕事よ! それすら出来ない時点で娼婦何て務まらないわよ」


プロの言葉を聞いて、惑は凄く楽しそうにしている。


「うんうん、良し! 次はもっと吸ってもっと若返るのかを実験だ!」

「!! え! どういう事!」

「つまり子供に戻るのかを調べるんだ!」

「はあああ!! ちょっと待って! 何を言って!」


訳が分から無さそうにしているアルマダを放置して、近くにいたゴロツキに向かって言い放つ。


「やーい! ヘニャチンがあああ!」

「お前何してんだ!」


エレンは、惑の幼稚な悪口に唖然とするが、ゴロツキ達はその言葉に怒ったのか、惑の元へと向かう。


「何だテメエエ! 俺等の言葉かにしてんのかああ!!」

「殺すぞカスガアア!」

「ああ!!」


惑は、笑顔を貼り付けながらアルマダの方をやたらと視線を送る。


「助け……」

「テメエが命令したのかああ!」


呆れてアルマダは、惑を見捨てようとしたが、ゴロツキが勝手に勘違いしてアルマダに絡み始めた。


「ジュル、良い体してんじゃねえか! 俺達の相手をいてくれよお!」

「ひゅー!」

「ナメナメナメ」


ゴロツキ達は、アルマダを見た瞬間変態のような反応をする。


「はあ……」


ある意味、惑にまんまと嵌められて、アルマダは自身で何とかするしかなかった。


「分かったわよ……多分意味はないと思うわよ」


そう言って、アルマダは男達全員の血を吸った。


「っごぎょおおおおお!」

「gぶあbがああ!」

「ああ……あああ」


三人は、惑のせいで死んでしまった。

しかし、惑はこの街は無法都市という犯罪とは掛け離れた街という理由で、遠慮する理由にはならなかった。


「ふーん、姿が変わらないか、分析」

『寿命のストックが溜まっただけです、年齢は17歳という全盛期の姿で留める事が出来ます、姿を変えるには現在彼女が取得している変化を使用する必要があります』


惑は、アルマダの姿と説明の内容を記録スキルに入れる。


「で? どうしてここで吸わないようにするの? ストックになるって分かってたなら別に吸っても良いんじゃないの?」

「私はね、無益に血を吸おうとは思わないわ、それより精〇や愛〇を飲みたいわ、昔から飲んでたし」

「そうか……あ! そうか! スキルが変化する事もあるのかも?」

『可能性はあります』


分析で調べてから、惑はスキルの変化を実証する為にアルマダと相談する。


「なあ、アルマダさんは今からだとどれぐらいの男や女を虜に出来る?」

「うーん、どうだろう……長い間仕事してないし……少し時間は掛ると思うわ」

「良い良い!! ゆっくり勘を取り戻そう! そうやって君が飲んでいた物を飲み続けてどうなるかを調べてみようよ!」


その言葉を聞いて、エレンは惑を引っ張る。


「ちょっと! そんなこと出来るんですか!」

「これは勇者を倒す為の足掛かりになるかもしれない、こういう事の実証積み重ねが科学にはとてつもなく大切なんだ」

「勇者を……でも変わらない場合は……」

「なら別の方法を考える、でもあり得ると思うよ、人によって魔法やスキルが違うってことはどこかの時点で変化を遂げた可能性がある、技に進化があるように能力にも進化があるように、魔法やスキルにだって進化の過程はあるかもしれない! だから調べる! 分かる!」

「うーん……まあ確かにそうだけど~」


少し不満そうにするが、エレンも否定する言葉を持っておらず黙るしかなかった。

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