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記録44『世界平和議会』

各国が、勇者の召喚を聞いて会議を開いていた。

大きな円卓の周りを囲んで、男が三人、女が二人座っていた。

扉の真ん中にいる男は、シャグル国のライアン・シャグル、その左から順に、男がフルスタ国のバイアン・フルスタ、その隣の女性はカイデン国のアルノトア・カイデン、トリア国のファイアルア・トリアである。


そして、議長席に座っているのは、この議会を纏めている男が、シンリョ国のミクルス・シンリョである。


「で? ペプリア国のファルトコンはいつ来るんだよ」

「聞いたところによると、自国でテロが起こって死んじまったらしい」

「ぶふ!! アハハハハ! 勇者召喚したぐらいで調子に乗ってるからそうなるんだよ! 糞下らない観光地を作ったって聞いたけど! あれも結局自分達の村を滅ぼしただけの自作自演だろ? バレないとでも思ってるのかなあ? それで村人に負けるような糞小国滅んで当然だ! イヒヒヒヒ!! 腹痛ええ!」


ライアンの言葉にフルスタが答えると、ライアンは腹を抱えてその場で馬鹿笑いした。


「コラ、ライアン! 下品な嗤いは止めろ! 貴族としての体裁を守れ!」

「この男にその言葉は無駄よ」


ミクルスが、ライアンに注意を促すが、呆れたようにアルノトアに否定される。


「そうですよ、議長……で? 勇者は今何を?」

「一緒に召喚された西院円惑という男を追ったそうだ……全く、そんな事より魔王を倒して欲しいものだ……」


神妙な面持ちで、ファイアルアがミクルスに聞く。

だが、ミクルスは頭を抱えながら説明する。

ファイアルアは、物凄く残念そうな目でミクルスに聞く。


「嘘でしょ? 魔王退治じゃなくて勇者召喚の付属の錬金術師を追っているって言うの?」

「本当のことだ……」

「はああ……頭が痛い」

「昔の勇者もそうだったのかな? そう考えると我々が勇者の行動をどうにかして魔王へと戻さないと?」

「でもよお! 勇者は今までも自分の正義に真っ直ぐっていう伝承が残ってんぜ? それってつまり頑固で頭でっかちってことだろ? 強さすらも持ったそんな奴が俺等の話を聞いてくれると思うのか? 無駄無駄」

「おい、ライアン! 言葉を慎め!」


ライアンの不敬な言葉に、ミクルスは注意する。


「いや……こればかりはライアンの言葉通りかもしれん」

「そうでしょうね……しかも情報だとシャイニャス姫とレイシャ騎士団長が一緒にいる上、覚醒したことによって聖剣から召喚された妖精もその言葉に賛同しているらしいし」

「そう考えると魔王退治の前にその男を殺さないと気が済まないかもしれない」


しかし、議長であるミクルスの言葉ではなく、皆あまり好かれていないライアンの言葉に賛同していた。

ミクルスは、ますます頭を抱える。


「ああ!! なんで詐欺師紛いの錬金術師を追う! それに錬金術師のやっている事なんてそこまで不味い事じゃないだろ! 内乱やテロ何てほぼ自国の問題だろうに!」


その姿を見て、三人はミクルスを慰める。


「まあまあ! そこまで時間は掛らないと思うよ! だって錬金術師でしょ!」

「そうだ! きっと魔王も倒してくれるさ!」

「そうですよ! だって勇者は魔王を倒す存在だ! それを違える事はない!」


その言葉を聞いて、ライアンは嗤う。


「俺としてはその錬金術師を雇いたいぐらいだ! だってよお! 村人達が反乱を起こす為に魔族へと改造したんだろ! いや魔族以外の動物を加えての獣人も作ったのか? それだけでも我々にメリットをくれる奴はなかなかいないと思うぜ?」


その言葉を聞いて、ミクルスは視線を向ける。


「冗談はよせ、で? 奴は今何処へ向かっている?」

「冗談のつもりはないんだが……まあ奇跡的に魔王の元へと向かっている、多分これは運命的な繋がりによって引き寄せられているのかもな!」


その言葉を聞いて、四人ホッとした様子になる。


「分かった、これからも引き続き監視を続けてくれ」

「分かったよ、まあ多分次は無法都市の近くの街、俺の国の領地に入るな!」

「錬金術師を捕まえられるか?」

「捕まえるんっすか? 俺の部下は勇者を追っているだけだしその事を伝達するにしても多分無理っすよ、アイツ等冒険者登録をしていない様子だから街にいつ入るかも分からん」


ミクルスは、再び頭を抱える。

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