記録441『禁断症状』
マッゾ族は、保護された施設で栄養価の高い食事を与えられた。
「……」
「……」
誰一人、手を付けなかった。
お腹の虫は、最早限界であった。
しかし、誰も手を付けない。
「食べていません……司祭様」
「まだ警戒があるのでしょう……今はまだ待ちましょう」
司祭達は、独善的な正義に酔いしれながら、彼等を後にする。
「なあ……乗り切れるか……」
「ダメだ……俺はもう限界だ……」
「くそ!! どうして! どうしてなんだ!!」
「これを食べれば俺等は終わるんだ……糞!!」
マッゾ族は、悔しそうにしながら腹を鳴らす。
『これを食べてしまえば空腹プレイが終わってしまう!! そうなっては元も子もないが……それ以前に!! 空腹プレイだけではこのマゾ欲が満たせない!!」
マッゾ族にとって、食欲よりマゾ欲の方が高かった。
「糞!! もう5分も虐げられていない!!」
「ああ……あああああ……頭を強く叩かれたい!!」
「お尻を引っ叩かれたい!!」
「ままああ……僕たちこのまま虐げられないの?」
「大丈夫、きっと大丈夫よ、サゾ民の皆が私達を攫ってまた虐げてくれるわ」
「そうだよね……うん……」
しかし、1時間、2時間と経っても、サド民は来ない。
「はあはあ、放置プレイ」
マッゾ族は、息を荒げながら何とかプレイシチュエーションを妄想し続ける。
しかし、それも限界だ。
「糞……どうしてこのご飯腐ってないんだ!」
「いつもなら腐敗した配給を地面に擦り付けて舐めている頃なのに……」
そして、3時間後。
最早皆、マゾの限界であった。
「もう……ダメだ……頭を!! ほおおおお!! あまたおおおおおおおおおおお!!」
そして、一人のマッゾ族が何を思ったのか、奇声を上げながら近くの壁に頭を思いっきり叩き付ける。
「っぶえええ!!」
血を噴き出しながら、アヘ顔になり、そのまま昏倒する。
「ああ……あああああ……いいな……」
「まて! これで……これでお前が乗れば……これは連鎖して死……ぬぞ……だめだああああああああああああ!!」
そして、もう一人、もう一人と頭を壁に思いっきり叩き付ける。
「ぶべえ!」
「んぶやあ!」
「うぎゅ!!」
「ママ……bく……逝くね……」
「ええ……いっひょにいきまひょ」
そして、最後の親子二人が頭を思いっきり叩き付けた。




