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記録43『旅の始まり』

悔しそうにしながら有志は、地面を叩き付ける。


「糞おお! 西院円惑!! こんなこと! 絶対に俺が許さない!」

「有志」


シャイニャス姫とレイシャは、有志の背中を摩りながら慰める。


「お前は良くやったよ、これはアイツが仕掛けた悪辣な罠だ……」

「そうだよ! あの男程下劣な事を考える者はいない! 有志は悪くないよ!」

「有志のお陰で私やレイシャは助かったんです、さすがに全てを守れる事は出来ません……あんなテロ行為、誰も予想できませんでした」

「皆……ありがとう」


シャイニャス姫とレイシャ、そしてレティリアは、有志を抱きしめる。


「大丈夫です、私達が付いています」

「ああ! 絶対に私達は有志を裏切ったりしない!」

「そうだよ! 有志の正義は何も間違っていない! 私達が保障するから自分の信じて! 困った時こそ! 仲間に頼らなきゃ!」


その言葉を聞いて、有志は笑顔を取り戻す。


「そうだな……三人の言う通り! 俺には皆がいる! 仲間がいる!」

「そうです!」

「そうだ!」

「そうだよ!」


有志は、再び立ち上がり決起する。


「ありがとう! 俺はもう何も迷わない! だからこそ提案させてくれ!」


真剣な表情で、三人に自分の想いを話す。


「俺は! 魔王を倒す前にあの西院円惑を打ち倒さないといけないと思う!」

「有志……そうですね……あの男はそこが知れません、放置すれば一体何をするか」

「私も賛成だ……そうでなければペプリア国も改造された村人も報われない」

「それに、あのエレンさん……あの子は完全に惑に操られてる……あのままじゃあの子は苦しみから解放されない」

「ありがとう……本当は魔王を倒す為に召喚されたのに……でも! それでも! あれは俺が止めないと! そしてあの男を倒した後! 魔王も!」

「さすが有志! 世界を守る為の覚悟が凄い! きっと神様はそんな君だから聖剣の使いとして選んだんだよ!」


すると、レイシャはレティリアに質問をした。


「そういえば……有志が勇者として召喚されたのは分かるが、どうして西院円惑という邪悪な男が召喚されたんだ……しかも錬金術師として」

「私にもか分からない……でも召喚された錬金術師が世界に混沌をもたらす事は分かってるんだ……だからこそ私もあの錬金術師を止める事を止めれないの……もしかしたら魔王以上に危ない存在かもしれない」

「そんな! 一体なぜ召喚の中にそれが!」

「もしかしたら、魔王が仕組んだトラップの可能性もあるのかもしれない」


有志の意見に、三人共納得した表情になる。


「確かに……召喚システムに魔王が昔何か仕組みを組み込んでいたのかもしれない」

「そうなると! やはり最優先は」

「ああ! 西院円惑の討伐だ!」


そして、四人はまっすぐな目で決意する。


「待っていろ! 西院円惑! お前はこの俺が打ち滅ぼしてやる!」


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その頃一方惑達は、未だにイネに抱えられながら走っていた。


「勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す勇者殺す、姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す姫も騎士団長も殺す……」

「うわ、エレンちゃんが勇者、姫、騎士団長絶対殺すウーマンになっちゃったよ」


ブツブツと殺意を呟くエレンに、惑は少し期待を込めて言った。


「言ってる場合! さっきからなんかヤバい呪文にしか聞こえないよ!」

「おいおい、もしかしたらこの言葉が呪いとなってあいつ等を襲うかもしれないじゃないか! 僕の世界にも不幸の手紙とか牛の刻参りとか色々と人を不幸にする為のおまじないは昔からあったんだから!」

「ふざけてないで止めてよ! 耳元でずっと怖いんだよ!」


イネは、エレンの呪いのような殺意の言葉に恐怖を覚えていた。


「分かった分かった、エレンちゃん、現実的な話をしようか?」

「……はい」


エレンは仕方なさそうにしながら、殺意を引っ込めた。


「さてと、殺意を込めて呪いを放つのも良いが……それを倒してしまうのが勇者ってものだ……さっきの戦いの記録からも天山有志は、いや勇者は魔族の魔力に効果抜群の可能性がある」

「効果抜群?」

「簡単に言えば、魔族の力では確実に不利に絶たされるって事」

「そんな! だったら私はどうすれば!」


すると、惑は頭を悩ませる。


「難しいよねえ……実際勇者の力がどんなものかが分かっていない以上適当に実験をしても成果は何もないかもしれない」

「……」

「でもその勇者としてのルールを見つければ切り崩す手段はあると思うよ? 実際勇者はレベルをアップさせてスキルを増やしている、それってつまり理不尽ではあるけど倒せないわけではないんじゃないか?」

「!! ならその切り崩す手段を見つける為に! 今は我慢しないといけないんですね……」


残念そうにしながら、エレンは気を落とす。


「まあまあ、僕の実験はまだまだこれからだ、君の戦いだってまだまだこれからのはずだよ」

「はい……」

「まあまずはイネに鍛えて貰いなよ、いくら気持ちが強くても戦闘技術が弱いと話にもならないし、その間僕も色々と実験してインスピレーションを働かせるから、今からは修行編って事で!」

「え! じゃあ私の好きにしていいの!」

「汚らわしい……」

「ワンニャアアン……」


イネは、エレンの冷たい態度に落ち込む。

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