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記録427『知恵の実を先に食べたのはイブである』

「ここです知実様、ここであれば聖女様から愛神へと変化できます」

「愛神?」


シスターの言葉に、知実は首を傾げる。

意気揚々に、シスターは知実の質問に答える。


「はい! 貴方のラブセイクリッドという言葉を聞いて、私が考えました! こういうのは神に仕えし者が名付ける事によって神へと至った際に効力が増すのです! そして名前があるという事は神としての神格も増します! だからこそ私が先に名付けさせて頂きました! ダメ……でしょうか?」

「いえ! そんな事ありません! 凄く嬉しいです!」


知実は、笑顔でシスターへお礼を言った。


「!! ありがとうございます!! では行きましょう!」

「知実、大丈夫だ! 私が付いている!」

「ウィリアム……ありがとうございます!!」

「ウチもついてっよおお!」


リューイも、嬉しそうにしながら一緒に地下の隠れ家に入る。


「シスター! 来られましたか! そちらが聖女様!」

「はい! では……」

「ああ! 早速始めよう!」


中に入ると、一人の男がフードを被って待ち構えていた。


そして、祭壇の上に知実は座った。


「それでは……神格化を開始します」


そして、一団は手を組んで呪文を呟き始める。


『聖女様よ……この世界を救う為……人々を救う為……神としてお救い下さい』

(集中して……私……自分の愛する者をしっかり思い浮かべながら自身の愛と信仰に……精神の奥深くにある愛でこの世界を救う為の信仰を……至る為の精神力を)


知実は、自身の奥深くの精神まで入り込んでいく。


「おお、知実様の体が光り輝いた……これは……神力により後光が溢れ出す」

「始まります! 神格化が!!」


(これが私の……私自身が神に至る感覚……凄い! 私自身の愛が溢れるよう! そうか! 神とは至った者……つまり信仰と自身を知る事とそしてその知った先の想いを通す力! それこそが正義なのですね! イネが性を通す力のみで神になりましたが……私はその先に……)

『ありがとう』

(え?)


突如自身の精神奥深くから声が響く。


『貴方は神に至る為の理解をあのイネと呼ばれる者以上に突き詰めた……信仰を得た、信頼を得た、愛を得た、徳を積んだ、救いを与え続けた、そして自身を知りそれを通す精神力を身に着けた……私が……私の愛する兄様の為の神への理解、信仰の解明、神とは何であるか……それだけが科学だけでは分かり得ない事だった……だから私は実を育てる事にした……神を知る実……知実……貴方という人格を……』

(何!! 何を言ってるの!!)

『私の名前は唯聖……かつてカルト集団の宗教2世として育てられた者……死に掛けたところを現在の兄……西院円惑の手によって救われた……だから私は誓った……兄さんの役に立とうと……私の特技は演技……宗教2世時代もそれで乗り切った……そして今の私は自身に都合の良い人格を作り上げて私自身を奥深くで眠る事によってその中の輪に自然と溶け込む技術を身に着けた……そう……信仰を知る実を育てて貰う為に宗教系の学校に入って貰う為に貴方を作ったけど……まさかここまで知恵の実が熟してくれるとは思わなかったわ……』

(!! いやだ! いやめて!! お願い!!)

『知ってる? この世界で初めて知恵の実を食べたのって……イブなんだよ……そして私は唯聖として貴方という知実(ちえのみ)を頂くとしましょう……』

(いやああああああああああああああああああああああ!!!)


知実は、唯聖の大きな手に捕まり、そのまま口の中に入れられた。

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