記録418『リザルVSキメラBABY 聖教教会を巻き込み大決戦!①』
「なんだ! 何なんだあ……」
「グラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
轟音のような鳴き声と共に、信徒1000人ぐらいが一瞬にして踏みつぶされた。
「ああ……あくむだああ……こんなのおかしい……ははは」
膝を付いて、涙を流しながら立ち尽くす人々。
そんな中、一人の青年が立ちあがった。
「皆! すぐに避難するんだ!」
「ファンザル……」
「あの怪物には我々では敵わない!! 聖女様だってせっかくガングロメイクゾンビ化から解けた我々を助けようとしてくれているのに! 我々が立ち尽くす事は許されない! 力がない以上逃げる以外ない! 後は聖女様やウィリアム様! ラスネス様に任せて……」
ファンザルは、事態をすぐに飲み込み、正しい判断で動く事が出来る昔から冷静沈着な青年であった。
聖教教会でも彼を、いずれ聖教騎士、もしくは聖教魔導士団に配属しようと考えていた。
自身が逃げる事ではなく、真っ先に仲間や信徒を逃がそうという心掛けを持って、信念を燃やしていた。
「がああ!!」
その夢も、もう潰えた。
ファンザルは、大怪獣リザルの尻尾を叩き付けられて、手の中で死んだかのように姿形を残したまま、ペチャンコになっていた。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああ!! ファンザルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
頼りになる青年はもういない。
死んだ。
そして、他の者は、そんな姿を見て悲鳴を上げながら我先に逃げ惑う。
何処へ逃げて良いのか理解出来ないという逃げ方であった。
街のあちこちを這い回るように逃げ惑う。
滑稽と言っても遜色ない程の恐怖心。
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「ふむ、彼等は生き残るという事に必死過ぎて悪い方向で頭に血が上っている、あれじゃあ生き残る最善方法が見つからないよ」
「でもママンハッハーは上手くいったじゃないか」
「あれは怒りを正しく理解して、血の流れを上手くコントロールしながら戦っている、達人の技だ、素人に出来る事じゃない、君も出来るんじゃない?」
惑とイネは、笑いながら話し合った。
「で? あれはどうなるの? 私の子供は……」
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「オギャアアアアアアアアアアア!! 僕の餌あああああああああ!! 美味しそおおおおおおおお!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「まずい!! 逃げるんだ! 知実!」
「でも……でも……皆が……」




