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記録414『愛の使い方』

知実は、自身の愛を知ろうとした。


(私は……ここに来て人を……この世界全てを守る為に、救おうと思った為に、それを叶える為に愛を使おうとしていた……でもそれは正しいの……私は……私が救おうとした人の中に……間違った考え持つ者もいた……人々は平等だという事を考えていた……でもどうして私は兄を救おうとしなかった……)


知実は、兄の言葉を思い出す。


『知実……よく僕や父さんのすることを嫌悪しているね? どうしてだい? 君が良く言っているように人を救っているよ? ほら、ここにあるもう動かない死体の中身を使って今ただ動かなくなった人を動かそうとしているよ? それは悪い事だろうか? 否、許される事他ならないんじゃないか? 臓器提供って言うだろ? 許可はいらない……必要ない……だってこれは売買だ……この貧民な子も救われるだろう……この世界を動かす子の為に、生かす為に使われるんだから、この子と共に動けるんだから! きっとそれは良い事だよ!』

(違う! そんなの絶対に違う!)

『根拠は?』

(根拠……そんなのこの子の自由意思が……)

『いやいや、売買が成立している時点で自由意思が決定しているよ……サインした時点で今更文句は言えない……今更逃げられない……僕の記憶が正しければ家族の為にだって言ってた気がするんだけど? つまりはそういう事だよ……貧乏で逃げられなかった、家族の借金で逃げる訳には行かなかった、様々な要因はあるんだろうけど人間はいつもその突き付けられた要因を目の前に選択しなければならない……もしそれが嫌なら家族なんか全て見捨てて自分だけ逃げれば良いんじゃないか、周りから屑と罵られるだろうけどそれも自由意思だ! でもこの子は売買される事で同情という選択を取った! これが君への反論根拠だよ! 言い終わる前に論破されるぐらい君の言おうとしている言葉は分かるよ、自由意思が尊重されてないとか、選べなかったとかでしょ?」

(!! それは……)

『やった! 正解だ! 大勝利!』


いつも兄の論破に勝つことが出来なかった。

だが、それはただ知実が、誰彼構わず救おうと考えていたからである。

そこに愛があるか、偽りか。

想い自体は偽りではないが、余りにも軽々しい、弱々しい、意思の強さが曖昧であった。


大切なのは自身の強い愛を正確に見定める事であった。

愛は正しく使わないと正しく機能する事は出来ない。


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「そうだ……私が愛するべき人達だけを……」

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