記録413『遺伝的能力』
「ふむ、ここは何処だろうか……ぐちゃぐちゃになった魂がまさか元の姿に戻れるとは……修復って便利だねエ……」
惑は、宇宙空間のようなところでうようよと浮いていた。
そして、何処か勘的な何かが頭に浮かぶ。
「ふむ、ここは時の流れか……面白い程に興味深い体験だなあ……」
『ここは! 一体どこ!』
「!! おお! 妹もいる! へえ、まさか僕と同じ異世界に来ていたとは、そう考えると僕の複製体と戦っているのかな? はてさて、今の君で何処まで出来るかなああ……それとも兄らしくアドバイスでもすべきかなあ……」
少し悩み考えた惑は、嗤って決断した。
「よし! 放置しよう! 妹にも成長は必要だ! そうすれば僕が求める答えをあの子は手に入れてくれる! 頑張ってくれ! 僕は妹の味方だよ! 君が僕の味方でいるんだから!」
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「は!」
知実は、目が覚めた時に言葉を思い出す。
『よし! 放置しよう! 妹にも成長は必要だ! そうすれば僕が求める答えをあの子は手に入れてくれる! 頑張ってくれ! 僕は妹の味方だよ! 君が僕の味方でいるんだから!』
「兄さん……一体どういう事……まさか……これも兄さんの計算の内……絶対に思い通りにさせない」
知実は、決意めいた眼で鋭く睨む。
「私にとっての武器を出しますか……一番手に馴染む」
「!!」
「知実?」
「あら? 様子が変ね……私が考える方法は見破られそうな目」
「!!」
知実の考える事を、一瞬にしてママンハッハーは、見破る。
(どうしよ! どうしよう! いや……パパンカツ・ラブリネスを復活させない為に……私自身のラブセイクリッド魔法を何とかしないと……でもどうやって……)
魔力自体のコントロールを、どのようにするか知実は思考する。
「考える時間は与えない」
「まずい! 知実!」
ウィリアムは、庇う様に剣でママンハッハーの動きを止める。
「今の間に! 知実は自身に出来る事を!!」
「!! 有難う!」
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「あれ? 動きが……変わった?」
「うむ、何かあったかな?」
イネと惑は、何処か不思議そうに見る。




