記録407『FINALROUND1』
「私にとっての武器を出しますか……一番手に馴染む」
ママンハッハーが取り出した剣は、禍々しい形とオーラを纏わせている剣であった。
「ドラゴンキラー……竜族を一撃で屠るという伝説の……」
「そんなものが……」
「ふ! ははははは!! 何だよこの女! 俺達に貰いもので戦うなんて卑怯って言いながら! 自分は貰い物の剣で戦うのか? しかも能力付き! 糞だっせえ!!」
「!! アズル! 逃げろ!!」
「え?」
アズルと呼ばれた騎士は、一瞬にして消え去った。
「あらあら……その貰い物の剣でも……肉体どころか血の一滴も残さずに消失させるなんて……誰にでもできる芸当でなくてよ」
「にげろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ウィリアムの、絶叫同様の避難指示を聞いて皆が逃走の態勢を取り始める。
「全く……遅い避難指示……そういうのは私がこれを取り出す前に言うべきだったわね」
そして、ガングロメイクゾンビ達として、ここまで来て、元に戻った街の民、兵士、騎士、魔導師団全てが一瞬にして塵となった。
悲鳴の一つも上げる事なく。
「嘘……嘘よ嘘よう嘘よおおおおおおおおおおおおおお!!」
知実は、簡単に散った人の命を目の前に絶叫する。
「さてと……君達も殺すわね……しっかり絶望もしてくれたみたいだし」
「!! させません!! これ以上貴方の好きには!! 好きにハアあアアアアアアア!!」
「もう遅いわ……私はもう体の熱すらも制御不能なの……こんっ興奮を止めないでくれるかしら? いや止まるはずがないわ……」
涎を垂らし、股からは、大量の液体を垂れ流しながら、ギラギラとした目で二人を殺しにかかる。
「じねえええええええええええええええええええ!!」
「フ!! ぐがああふぐ!!」
ウィリアムは、咄嗟に剣を構えて、ヒビが入る中何とかこれ以上負担を掛けないようにママンハッハーのドラゴンキラーを防ぐ。
「おや! おやおやおや!! ママとの戦闘でずいぶん成長したわね……実戦はすればするほど強くなる……貴方もその類って言うのは理解していたけど……なかなかに早いわ……ま、私のきゃわいいパパンカツ程ではないけどねええ!!」
そして、剣を傾ける事により、滑らせるようにウィリアムの剣を促す。
「ぐ!」
「はい! 隙!!」
ママンハッハーのドラゴンキラーは、そのままウィリアムの鼻を切り取った。
「あら残念……成長が思ったより大きいようね」




