記録405『技術力』
「FOOOOOOOOOOOOOOO!!」
「FOOOOOOOOOOOOOOO!!」
ガングロメイクゾンビ達を、勢いよく投げ付けるママンハッハーを見て、知実は違和感を覚えた。
「なぜ……どうしてあの人は彼等を投げても平気なの……」
「!! 知実! どうした!!」
ガングロメイクゾンビ達の血やメイクの液体を、ママンハッハーはかなり浴びている。
しかし、ガングロメイクゾンビ達に飲まれていない。
それを見た知実は、仕組みを理解しようとする。
「あら? どうかしたのかしら? 死にたいなら今から殺すわよ……」
数人投げてから、ママンハッハーは知実を、殺しに掛かる。
「さてと、貴方にはガングロメイクゾンビに出来ないみたいね……まあ私としてもそのつもりはないわよ……
」
「ラブセイクリッドブレード!!」
「神聖な剣で殺そうというのね……」
「いえ、拘束させていただきます!!」
知実は、ラブセイクリッドブレードを利用して、地面を破壊する。
「ほう」
そして、愛の掛かった地面は、自在に動いてママンハッハーを閉じ込める。
「この分厚い壁があれば貴方の動き自体は封じれます! このまま圧し潰されたくなければガングロメイクゾンビ達になった者を解放しなさい!!」
「ふーん……私がした……という認識ね……残念だけど私を殺した程度では元には……」
「いえ……他の者が……仲間がこの事態を生んでいるのでしょう? なら貴方を人質に取れば言う事を……」
知実の言葉を聞いて、ママンハッハーは呆れた。
「はあ、正解ではあるわ……でも……私が死程度でこれを戻す事はないわ……彼女はね」
「!! それはどうですか……貴方を守るという事は貴方に愛を感じている事……なら大切な者を見捨てはしない……私は人のそれを信じている……」
「それを……聖女様がして良いと本気で思っているの?」
知実は、首を振る。
「これは明らかに聖女としての領分を超えた最低行為……それでも……私には愛する者を助けたいという思いがある……それに……人の愛を信じているからこそ私は敢えてこうするのです……だから私は人を殺す事はこの世界で一回きりでしょう……西院円惑……兄さんを殺す……それだけで終わらせるつもりです」
聖女にとって、非道な行為ではあるが、愛を信じるからこそ仲間は守りに来る。
だからこそ、ママンハッハーは呆れた。
「利害の一致って知っている? 知らないなら今憶えなさい……今後があればだけど……」
壁は、ママンハッハーが一瞬にして砂にした。




