記録397『スカッと!!』
ママンハッハーは、見つけた。
目の前に居る聖女、西院円知実を目の前に睨み付ける。
「見つけたわよ……貴方のせいで私のきゃわいい息子パパンカツ・ラブリネスは死んだ……魂までバラバラにして……許さないんだから……まずは貴方のチートを台無しにしてやるわ……モンスターペアレントを舐めないで」
怒りに満ちた目で、知実に近づく。
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「!! え……なんで……」
「どうしたんだ! 知実!」
ウィリアムは、心配そうに知実を見つめる。
知実は、涙を流しながら悔しそうに手を握る。
「私の聖女としての能力が……消失しています」
「な!」
「そんな……どうして」
ラスネスの心は、絶望で潰れそうになった。
知実から能力がなくなれば、自身の今の状況も完全に元に戻す事が不可能だからである。
「いやだ……いやだああ……何で私がこんな目にいいい」
「それは聖女なんかに関わるからよ」
「!!」
「誰だ貴様!!」
ウィリアムは、警戒しながら声のする方を見る。
「私の名前はママンハッハー……ママンハッハー・ラブリネスよ」
「ラブリネス……まさかパパンカツ・ラブリネスの!!」
「そう……母親よ……きゃわいいパパンカツ・ラブリネスが死んだのは貴方の責任よ……貴方なんかいなければ……そして天山有志なんていなければあんなに苦しむ事はなかった……天山有志だってこの手でぐちゃぐちゃにしたかったけど……あれはもう西院円惑によってぐちゃぐちゃに殺された……まあ良いわ……代わりに貴方をぶっ殺せばいいの……ただでは済まさないわ……」
その目は、生きとし生きる者の目ではなく、ただ殺す、ただ殺そうとする狂気するめであった。
怒り、憎しみ、絶望、負の全てを煮詰めた様な禍々しい目であった。
「君のそれは復讐心だ……復讐なんて虚しい事はやめ……」
「るっせえええんだよお!! スカッとするからするんだろうがあよおおお!! 後に虚しくなろうが知った事かああ!! オナニーと同じなんだよおおお!! スカッとした瞬間の虚しさなんて覚悟の上だボケええええ!! だから殺す! ぶっ殺す!! それに……貴方なんていなければ誰も不幸にはならない……そうは思わない? だってそうでしょ? 貴方ラスネスって言ったわね……そんな奴に関わったばかりに貴方は今不幸になっている……そうは思わない……」
「それは……それはああ……」
絶望の余り、ラスネスが正気を保った答えを持つことが出来なかった。
人は、冷静で正気の時のみ、心に余裕を持ち、そして正しい判断が出来る……しかしそれは今のラスネスには不可能であった。
「そうだ……聖女なんかに関わらなければ私の誇りも部下も失わなかった……そうだ……」
「ラスネスさん……」
裏切られた聖女知実の心は、闇に包まれる。




