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記録39『魔族遺伝子変異体』

「鬼人化後の遺伝子が欲しい?」


アレンは惑の言葉に、首を傾げる。


「そう、どうして鬼人族はそのような進化を遂げたのか、亜人種としてではなく魔族として、その観点から察するに鬼人族が生まれたのは、魔族の進化系統からではないかと思ってね、分析スキルの結果やっぱり普通の人間と同じく魔族も進化している事が分かった、だからその進化する際に必要となった変異の遺伝子がどんなものか確認したいのとそれを他の生き物に組み込まれた場合どうなるのかが知りたいんだ」


惑は、ウキウキしながらアレンに迫るように説明する。

それは最早、自身の世界に入り、熱く語っている子供のようであった。

アレンは、昔から子供達の話を聞く事にはなれていた為、惑の話も真剣に聞いてあげた。


「だから鬼人化した際、その変異遺伝子が色濃く出るんじゃないかって思ってさ! 分析では可能性があるとだけしか分からないから実際にやってみたいんだ! だからお願い! もし出来たら国家転覆の際、何かの役に立つかもしれないだろ!」

「そんなに必死にならなくても、協力して貰っているのは我々だ、錬金術師様のその好奇心に付き合うのも苦ではありませんよ、まあ国家転覆前に殺されるのは困りますのでそうならないのであれば」


つまりは、殺さない事を条件に、惑の実験に付き合ってくれるとの返事であった。

惑は、嬉しそうにしながらアレンを見つめる。


「じゃあ早速お願い!」

「分かった分かった……」


そして、アレンは意識を集中させると体がドンドンと膨れ上がり、鬼その者の姿へと変異した。


「ここからどうずればいい?」

「髪の毛を一本貰うよ、もしかしたら何度かなって貰って調べる必要があるけど」

「そんな事なら数本ぐらいは、いや全て上げても良いぞ?」

「いやいや、それだとアレン君だって一目で分からないだろ? 国家転覆の弊害になる事はするつもりはない、でもそうだね、数本貰うよ」


そして、惑はアレンから髪の毛を数本貰った。


「ありがとう、これでちょっと調べて見るよ」


惑は、嬉しそうにしながら森の奥へと消えた。



数時間後、惑はイネと共に嬉しそうにしながら戻って来た。


「聞いて!」

「分かった分かった」


迫る惑を少し後ろへと押して、アレンは話を聞いた。


「さっきの髪の毛の中、3本に変異遺伝子があった!」

「そうなんですね、それでそれはどうしたんですか?」

「当然複製で増やして試験官に入れた分もあるよ!」

「分ってことは、実験に利用した分もあるんですか?」

「うん! そうなんだ! それでねそれでね! 害虫や害獣をHP回復に利用してはいたんだけど害獣より害虫の数があまり減って無くてね! それで虫にその変異を組み込むとどうなるか実験したんだ! そしたらね! スキル寄生を手に入れたんだ! それだけではなくてね! スキル仮死状態も会得してね! そのお陰でホルマリンの試験官に保存しても仮死状態になって生きたまま保存が出来たんだ!」

「かし?」


アレンは、よく分らない言葉に困惑する。


「仮の死、つまりは完全に死んでいないって事、それでのホルマリンから取り出したら普通に生き返るんだ!」

「それ大丈夫なんですか? 錬金術師様には危害は?」

「それは大丈夫! スキル隷属で隷属させたい相手の一部を取り込んだことによって僕に逆らえないようになっているんだ!」


嬉々として話す惑の横で、イネはドン引きしながら話す。


「本当に気持ち悪かったよ、ネズミの血を飲んでいる所もヤバかったけど、虫の血をべろべろ舐めだした時は本気で気持ち悪かった、常軌を逸した変態だよ」

「常軌を逸したSEX依存症には言われたくない」


惑に、言い返されてイネは少しブスッとする。

しかし、惑はそんなイネを無視して話を続ける。


「それでね! その寄生能力を使う為に死にかけていた動物に使うと以上に強くなった上に、遺伝子を取り込んだ虫自体がその生き物の中で異常な成長をして乗っ取っていたんだ!」

「それ大丈夫なんですか!」


アレンは、驚きながら聞いた。

イネは、頭を掻きながら呆れたように答える。


「私が殺したよ……本当に大変だったよ……異常に生命力高いせいで全然死なないから本当に倒せるのかとすら思ったよ……倒せたけど」

「そっそうですか……本当に良かった……」


安堵するアレンを横目に、惑は虫の入った試験官をアレンに渡す。


「これはもしも自分が死ぬ可能性が飛躍的に上がった際、もしくは覚悟が決まった際に使って見て! きっと良いデータ……良い戦いが出来るよ! 勇者とも! ……多分」

「多分……か」


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俺は死ぬ、ここで死ぬ。

確実な死が体の中に染み込むようだ。

だが、それは俺の覚悟と繋げる為の道筋だ。

錬金術師様はおそらく妹に……エレンに俺達の後を継がせようとするだろう。

なら俺に出来る事は、今出来る限りの勇者の情報を引き出す事だ。

無駄かもしれないが、これが後に繋がればいい。

それだけで……

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