記録390『元々』
「プラン……一体どうやって……」
「そうか」
惑は、思い出したかのように手を叩く。
「そう、私の寄生能力は元々魔族の遺伝子を植え付けられた虫から抽出したものだよ……私がそれを植物として、自然生物として認知していないとでも? 母様の時から既に私はずっと体の中に眠る魔虫の魂の影響をコントロールして、今では花粉を鱗粉の様に飛ばす事の出来る寄生虫を作る練習をしていたんだ!! 惑気付いてなかったでしょう! シャグル国の国民の中で数人が私の支配下にあるって事!」
「ほう、今はどんな感じ?」
惑は興味津々で、プランに詰め寄る。
「フフフ、見て見て!」
嬉しそうにしながら、市民を見せる。
しかし、当然のように歩いて暮らしている。
「あれ? めちゃくちゃ普通だね? 特に何とも……」
「べべべべええ!!」
「きえええええええええええええ!!」
すると、数人が口から突如変な粉を吐き出した。
「お前……いつの間に花粉実験してたんだ」
「これは私が進化してからの話! イネがちゃんと私の実験に付き合ってくれなかったから私自身が行っているの! だってイネって勝手じゃない!!」
イネの方を見て、惑は呆れる。
「イネ……君はもう君のままでいいよ……その方が個人としての成長を魅せる……君はその方が成長しやすい……協調性実験はいつかしようと考えてたけど……これじゃあ難し……」
惑が言い終わる前に、イネが反論する。
「あああ! 分かってないなあ!! 私だって協調性はあるんだよ! 何ならこの子供を私に貸してよ! どうせ実験体でしょ! 私まだちゃんと聖女と戦ってないし!」
「サクラン・ドウとパパンカツに取られたじゃないか!」
「今度はちゃんとするもん!!」
イネは、意気込んで聖女との戦いに備えようとした。
しかし、
「それは待て……」
「お前は……シターギガ……何か用?」
プランは、呆れながらパンツを被る男を見る。
シターギガ・ダースキィ、ソードマンハウスの一人である。
「今は子の仇を討つために一人の母が戦いを挑もうとしている……私はその為に情報を君達に伝えに来た……」
「子の為?」
「ああ、パパンカツ・ラブリネスの母親……ママンハッハー・ラブリネスだ……」




