記録381『交換』
「やっぱり私は間違ってないよ! だって! それは君が分からないだけであって他の者達のしたいをプランちゃんは奪おうとしてるんだよ! そんなのって本当に良い事だと思うの?」
「温かさも何も……イマジナリーS〇Xに手を出したのはイネなのでは? イマジナリーに温かさはあるの? それに……イネって何度か嫌がっている女の子を強姦してるよね? 後男も……それって間違っているとは言わないの? 花粉を使えば相手の純潔を守ったまま臭いのみで受精し出産する事が可能なんだよ、私の言っている意味分かる? ねえ? 分かるよね? イネがしてきた事より遥かに健全で遥かに平和的だよ……愛だの幸せだの……表裏一体的に見ればそれらは全て不幸の原因になるんだよ? 知らない方が幸せって言うじゃない……花粉で媒介させれば不細工も可愛いもカッコイイも美しいも……全て平等的に受粉する、そして子を繋げる……それってとても素晴らしい事なんだよ? 分かる? 分からないか? どうせイネだもんね……淫獣だもんね……何がキメラだよ……気色悪りいんだよ」
プランの言葉が終わると同時に、イネは膝を付く。
「終わったか……」
「呆気ないですね……そんなものですかね……所詮イネなんて」
イネは、屈辱で膝を付いた訳ではなかった。
(めっちゃヤリてえ)
所詮は淫獣、こんな緊迫的状況論争にも、自身の本能に忠実であった。
(あ、ダメだわこれ……プランの言葉は正しいとかそんなのどうでも良いわ……してえ……腰振りてえ……女の喘ぎ声と男の喘ぎ声を同時に聞きてえ……もう正しいとかどうでもいいわ……今まで論争してたのは私の欲求が奪われるのが嫌だから言ってただけだし……うん……こうしよう)
「だったらプランちゃん! 私の体に少し寄生して、生き物の交わりを味わってみないかい? そうすれば良さが分かると思うだよ」
「ふむ、イネにしては真面な意見じゃない……確かに……世界には効率より非効率が有用である事も確か……良いよ……その非効率、乗った」
(やった……当分はデキる)
イネは、キメラである前に、生命力の高い生き物の魂で錬金した生き物。
イネは、淫乱な女と男二人の細胞を得た淫獣。
イネにとって、欲望的に話を進めた方が、存外真っ当な意見を出す事に出来る、完全無欠の感覚天才タイプであった。
(こいつ……欲望があれば最強だな……作って良かった)
その事に気付いているのは、惑だけであった。