記録380『愛とは、行為とは』
「プランちゃん……確かに君のやっている事は画期的なんだろう……でも……そんなのはプレイじゃないよ!」
「どう違うの? 私は花粉で相手に良い思いを……」
「それはただ花粉でキメているだけ! その中にどれだけの愛があるって言うの!!」
イネは、プランに向かって涙ぐみながら訴える。
「何か始まった」
「いつもの事だから観察しよう」
エレンは、ゲンナリとしながら、惑は興味津々で見ていた。
「いいかい……プランちゃん……愛って言うのはね、相手と相手との繫がりがあるんだ」
「? 花粉でも鼻の粘膜に付着して臭いが脳みそに直接繋げてくれるよ?」
「論破された」
「ある意味繋がってはいますしね」
「違う!! そんなのは全然違うんだよ!」
しかし、イネにとってそれは、意味合いが違った。
「体と体を合わせて! 口と口を合わせて! 腰と腰をぶつけ合って! それ等の相手の感触や! 相手の事を知る事で! 愛を二人で感じ合い共有し合う! 私達は互いを求め合う事によって! 相手を知る事によって! 愛を感じる事が出来るんだ!」
「? 臭いを知る事は相手を知る事ではないの? イネの言うのは、愛を感じれば良いんでしょ? それらは人間達が必要としたからしてるだけであって、私達植物は既に花粉を介して愛を伝えて受精して子を孕んだよ? それって……もしかしてイネは私達の事を、私達の愛を否定してるの? それは許される事なの? それは言って良い事なの? 愛を伝えるイネが……そんな、愛を否定する事を言っていいの? 本当に?」
「うう……うううう」
「撃沈しそう」
「イネって……感覚で話すから絶対に最後は追い詰められますよねえ」
「ウワアアアアアアアアアアアアアあああ……あ!」
「何か気付いた」
「今更……」
「生き物には! 生き物の愛があるんだあああああああああああああああああああ!!」
惑とエレンは、イネのそれっぽい論破に、苦笑した。
「何か自分が正しいみたいな感じで逆ギレした」
「頑張れ感覚派……」
イネは、頭を抱えながら振り絞って意見をぶつける。
「私達は、匂いじゃなくて……温かさを感じて愛を感じているんだよ……皆で愛を感じる方法がそれが良いと思ったからこそ変えなかったんだ……帰れるチャンスはいくらでもあった……それでも変えなかった……分かる? この意味」
「うん……分からない」
プランの答えに、イネは落ち込んだ。