記録376『出産常時』
人類にとって、出産は特別なものではなくなった。
イネによるイマジナリーS〇X事件をきっかけに、人類は食事やトイレ、寝るなどのような事の中に、出産が含まれてしまった。
最初は、皆困惑し、恐怖した。
男も女も何の差異もなく、出産がいきなり訪れる。
行為をしなくても、人類は子を産めるようになった。
そして、それから数週間が過ぎた。
「劇時間いつだっけ?」
「10時だよ! その前にちょっと出産してきていい?」
「そうだね、私もちょっと出産したい」
「じゃあ、先に出産だけ済ましておこうか?」
「賛成!」
劇を見る前に、する出産。
「まだ時間があるな、先に出産しておくか!」
「そうね! 私も出産したい!」
「じゃあ出産しに行こうか!」
時間までの出産。
「おお! ラウルラ! 一緒に連れ出産しようぜ!」
「良いね! 連れ出産連れ出産!」
友人と行う出産
「ちょっと出産してくる」
「いってらっしゃーい」
「はい! 今から10分間出産休憩にしまーす!」
『はーい!』
休憩に等、まるでそれが当然のように皆出産するようになった。
『オギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
「お願いしまーす」
「はーい!」
産まれた赤ん坊は、すぐに業者が引き取り、イネが育てる。
イネは、嬉しそうにしながら街を見下ろす。
『今の気持ちはどうですか?』
その質問に、イネはこう答える。
「そうですね、やっぱり僕としては……最高の世界ですよ! だって! 男も女も出産の悦びを常に味わえるんですよ! これぞ! 僕が求めていたエデンだと思うんですよねえ!」
『どうして出産何ですか?」
「出産は子を産む事により、痛みを伴いながら産み落とす事により、愛おしさを多く感じ取る事が出来るのです……私は、皆様にその喜びを与えたいのです」
『イネさんにとって出産とは?』
「出産とは、そうですねえ……やはり人生ですかねえ……子供を作り産む、それは生き物として生まれ持っている本能です……それらを無視するのは難しい……なら僕等はどうすれば出産し喜びあえるのか……男も味わえばいいんですよ、片方が知らず片方が知っているが良くないと僕は思います」
『なるほど……有難うございます、少し出産してきていいですか?』
「構いませんよ、元気な子を」
「はい!」
スタッフは、呼吸を落ち着けながらトイレへと向かった、




