記録367『イマジナリー』
「おやおや、君も良い処女してるじゃないか……へえ……ラスネスと言うのか……良い名だ、こっちに来るんだ」
「止めなさい!!」
ラスネスは、サクラン・ドウの差し出される手を振り払った。
その行動に、サクラン・ドウは気に喰わなかったのか、ラスネスの頬を引っ叩く。
「う!!」
「このおおお!! 雌ガアアアアアアアアアアアアアア!!」
「!!! なんてことを!!」
サクラン・ドウは、涎を垂らしながら怒りで顔を真っ赤にする。
「この僕が! この僕の手を! 振り払っただと!! 僕こそがサクラン・ドウ!! 魔導を極めし者!! 貴様より位は上だ! 貴族の魔導生娘!! その処女魔力を僕のイマジナリーS〇Xで犯し尽くして想像孕ませさせてやろうというのだ! 貴族の魔導生娘にとっては誇らしい事だろ? ああ? それなのに……それなのにいいいいい!! 良い!! 僕はその気丈な心を屈服させるのも好きだ! そして貴様は!! この僕の魔力Babyを孕む事はもう既に決定事項だ!!」
その言葉を聞いて、ラスネスは真っ青になる。
知実は、ラスネスを後ろにやり反発する。
「させません!! そのようなラスネスの心を無視した様な下劣な事を!!」
「フン、貴様は本当の愚かだ……だがそれも良い!! この世界の事を何も知らない無知さはそれだけで感じやすいというもの! 感じやすいという事は良い事だ!! 刺激に弱いという事であり! よく喘ぐ!! それこそ僕の魔導は更なる高みと昂りを感じる!! それに……言ったろ? 決定事項だと……」
「ラスネス」
そこには、涙を流す初老の男性が立っていた。
「父……上……どうして……どうしてですか!!」
「ラスネスさんの……お父様……」
「すまないラスネス……魔導を極めしサクラン・ドウの言葉には逆らえんのだ……貴族社会では位の上の者に逆らう事が出来ん……更にこの者は魔王直下の魔導師……西院円惑による神の信仰破綻、勇者の殺害、魔王と国家の契約の元……例え我等が人間で在りたいと願っても……我々人間は魔王の慈悲で取り敢えず生かしてやっているという状態だ……我々には人権……いや魔権がないんだよ……そして魔導を扱う者である我等は、魔導を学ばない者に比べればまだマシなもの……家族を守る為に……犠牲になってくれ……」
ラスネスの父親は、腕に魔導の書を抱えながら全く説得力のない言葉で誤魔化す。
「所詮……所詮父上はそんな人だったのですね!! 酷い! 酷いわ!! そんなあああ……」
ラスネスは、裏切られたショックによりその場で吐いた。
「させないぞ……あんたは自分の欲望に負けた下種だ……大丈夫だラスネス……私と知実で守る……この剣に懸けて!」
「フン、そんな片手で我に勝とうと? だがそうだな……なら貴様の戦い方に乗っ取った者に任せよう……我を守りし騎士よ、参れ」
「は!!」
パチンと手を叩いた瞬間、ブリーフ一丁の男が現れた。
「パパンカツ・ラブリネス!! 今参りました!!」