記録366『君、良い○○してるね、こっちに来るんだ』
「そこまでだ!!」
「!! 何奴!」
どこからともなく声が聞こえ、イネと坊やは足を止めて辺りを見回す。
知実もウィリアムも、泣いていたラスネスも、驚きながら見回す。
それと同時に、亜空間にひびが入り、一人の男が現れた。
「もう大丈夫だよ……僕が来たからには!」
「あの人は……」
「!! っく!! アイツは!!」
「!! そんな……どうして」
ウィリアムとラスネスは、男を知っているのか、少し嫌悪の表情を浮かべる。
「おおお! おおおお!! 君が! 君がそうなんだね!! 待っていたよ! 嬉しいよ! 初めまし……」
逆にイネは、感極まっているかのように入って来た男を見ていた。
しかし、気が付いた時には既に遅かった。
「ママアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! パパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
坊やが、一瞬にして粉みじんになった。
「坊やああああ!! いやあああああああああ!! 僕の子ガアアアアアアアアアアアアアア!!」
イネは、涙を流しながら坊やの残骸を拾い集めようとする。
「フン、下らん」
しかし、坊やの残骸すらも男の魔力によって掻き消された。
「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
イネは、絶望しながら頭を抱える。
「お待たせ……君がそうだね? 聖女様」
「ええ……あの! 助けてくれ……」
「君、良い処女してるね、こっちに来るんだ」
「え!! ちょ! 止めてください!」
「いいから来るんだ!」
男は、意味の分からない言葉を言った途端に、知実の手を無理矢理引っ張り始めた。
「放して! 放してください!!」
「いいから来いっつってんだろうが!!」
「止めろ!! この屑野郎が!!」
「黙れ! 雑魚が!!」
男は、ウィリアムに手を翳し、突如手が光る。
「!! 危ないです!!」
ラスネスは、ウィリアムを引っ張り、ウィリアムは知実を引っ張った。
しかし、その光が消えた途端、知実を引っ張っていたウィリアムの手が蒸発した。
「ぐがああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ウィリアム!! 一体何をするんですか!!」
「五月蠅い!! この僕が君に良い処女していると褒めてやったんだ! それなのに! 感謝するどころか拒絶したな!! 感謝されど拒否られる筋合いはない!! ふざけるな!!」
「黙りなさい! 貴方なんかに! 貴方のような下種に聖女は渡しません! サクラン・ドウ!!」
「サクラン……どう?」