記録361『先遣隊』
「何ですか……これは」
知美は、唖然とするしかなかった。
ペプリア国だと思われた場所は、何か丸い亜空間のようなもので閉鎖されていたのである。
「これは……一体なんだ……結界ではない……また別の何かだ……」
「聞いた事があります……これは神にしか許されない亜空間結界であると、この中に入った者は死んだ方がましだと感じてしまうぐらいの無事では済まないと……まさか! 西院円惑がここに亜空間を!」
「酷い! どうしてそんな事を!!」
他の騎士や魔導師団達が怒りを露わにしている。
「どうします知美様……この亜空間に入れば例え我等でもただではすみません」
ウィリアムの言葉に、知美は首を振る。
「でも! この中に沢山の人達が閉じ込められているのでしょう! そんなの許されるわけがありません!!」
「では先遣隊を作りましょう! 聖女様はここに……」
「ダメです! 先遣隊の中には私も入ります! 私がいないと他の者の安全が保障されません! 神が作る亜空間を人為的に発動したとしても兄さんが関わっています! 私しかこの世界で対応出来る者はいないでしょう!」
「!! 知美……分かった……私も行く……そうでないと騎士としての誇りが許さない!」
「私も行きます! ここで折れていては! 魔導師団長としての名折れです!」
「ウィリアム……ラスネス……分かりました! では私達3人で行きましょう!」
その言葉に、他の騎士達は驚きを隠せなかった。
「お待ちください! もしもの事があれば!」
「そうです! もう一度お考え直しを!」
「今は一刻を争うのです! すみません! もう行きます!」
『はい!!』
二人は、知美と共に亜空間へと入る。
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「ここは……なんて醜く悍ましい場所」
「この草は何だ……異様な形をして居る……」
ウィリアムが見つけた草を見て、ラスネスは目を背ける。
「汚らわしい! なんて悍ましい!!」
嫌悪を露わにしながら、怒りの声を出す。
そんな時であった。
「あらあ、ラスネスじゃない」
「シャルナア!!」
知り合いであったシャルナアが、現れた。
「良かった! 無事なのね!」
「ええ! おえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
突所、シャルナアは、三人の目の前で吐瀉した。
「!! シャルナア!! 本当に大丈夫なの!」
「ええ! 平気よ! ただの出産だから気にしないで!」
「は?」
すると、吐瀉物から大量のBabyが誕生した。
『オギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』