表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/474

記録35『玩具』

「うわあああああああああああああああ!」

「逃げろおおお!」


ラマガルとその友人達は、絶叫しながら逃げる。

しかし、目の前に立ちはだかったのは凶暴なジャイアントであった。


「ま゛ま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! オモぢゃあああ!!」

「そうねえ! アルー君! おもちゃがやっと来たねえ! 遊ぼっか!」

「わ゛ああああい」


目の前の怪物に、ラマガル達は成す術がない。


「お前等! 我の盾に……」

「るっさえ! テメエが盾になれ! ラマガル!!」

「そうだそうだ! 子爵家の分際でええ!」


ラマガルは、大した地位にいる訳でもないのに、偉そうに自分より上の人間に命令してしまい、押し出される。


「うあ! ヒイいいいい!」


ラマガルは、恐怖の余り失禁する。


「おい見ろよ! ラマガルの奴漏らしやがったぜ!」

「ギャハハハハハハハハハハ! 情けねえ!」

「貴族の面汚しめ!」


ラマガルを前に押して、安全な所に隠れた貴族達は、余裕そうにラマガルを見下す。


「おだのじみはあああ!! あどおおおおおお!」


しかし、怪物はラマガルを跨ぐとそのまま他の貴族の方へと向かう。


「おい! 馬鹿! こっちくるな!」

「やっ! やめ」

「たすけ」

「ぐぎゃあああ!!」


怪物は、唸り声を上げながら、一人の足を潰す。


「ヒギャアアア! 僕の足があああああ!」

「うわあああ!」

「オエエエエエエ!」


足を潰された貴族は、のたうち回りながら絶叫する。

それを見ていた貴族の一人は、悲鳴を上げながら尻餅をつき、もう一人はその場で吐いた。


「お前もこうだああああ!」

「やだ! やめて! 放してええええ!」


怪物は、尻餅を付いた貴族の腕を持つと、そのままへし折った。


「いぎいあいいいあいいあい!」

「はあはあ!」


過呼吸気味になる貴族は、吐瀉物を気にせずその上を滑るように逃げようとした。


「ままま! 待てえええええ!」


怪物は、楽しそうに逃げ惑う貴族の子供を追い掛ける。


「うわああああ!」

「捕まえたアアアアアアア!!」


怪物に、首根っこを掴まれて、持ち上げられる。


「どうする? アル―? どうする?」

「うーん……千切っちゃえ!」

「ああああ……」

「あら! 良いわね! 千切っちゃえ! 千切っちゃえ!」


肩に乗っている女性もケタケタと嗤いながらアル―が頭から摘まみながら前と後ろに同時に引っ張る。


「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」

「うぎゃああはははははは!! ま゛ま゛あああああああ! だのじいいいいいい!」

「そう! よかったわね! アル―!」


ママと呼ばれた女は、心底愛おしそうに怪物を撫でる。


「いだいいだいいだいいいい! やあああべっでえええええ!」


そして、そのまま貴族の子供は真っ二つに引き裂かれた。


「貴様! よくもおおお!」


すると、一人の女性が絶叫しながら飛び掛かる。


「邪魔!」

「ウガアアア!」


怪物は、鬱陶しそうに手で払い除けるとそのまま女性は吹き飛ばされる。


「ままままま!! 待てえええええ!」

「いあやあああああああ! 来るなアあああ!」

「えい!」

「ぐはgふうgは」


足を潰された貴族は、そのまま大きい足に踏み潰される。


「がはあ! やめろ……」


女性は、血を吐きながら必死に止めようとする。


「楽しい? 良かったわねえ! アル―!」

「うんママ! だのじいい!!」

「うわああああぎゃあああああ!」


ラマガルは、泣きじゃくりながらその場で蹲る。

失禁で出した尿に塗れ、涎と涙で顔がベタベタと汚れた彼は、最早貴族と呼べるか分からないくらい情けない姿になっていた。


「あんなところに情けないおもちゃだは! 情けないおもちゃはどうするのかなあ? アルー?」

「分かった!」

「なーに?」


母親は、子供と会話するように問い掛ける。


「上半身と下半身を千切れば良いんだ!」

「正解! 良く出来ました! 偉い偉い!」


母親は、我が子を褒めるように怪物を撫でる。


「やめ!」

「ぜーの!」

「いぎぎぎぎぎぎぎぎぎゃあああ! 我ぼおおおお!! だでだどおおお! らがばるうううう!! わではわがばうるううううううっばあああああああ!」

「よせええええええええ!」


しかし、女性の静止も遅く、ラマガルの上半身と下半身は分離された。


「あああ……ああああああ」

「やっだああああああ! だのじいいいいいいいいい!」

「凄いわ! アル―! 凄い凄い!」


終始、怪物と母親は楽しそうにしていた。

女性は、悔しそうにしながら地面を叩く。


「糞……糞……糞おおおおおおお!!」


そして、気合を入れ直して無理矢理に立ち上がる。


「貴様等許さん! 我が国の大事な民をよくも! この私が斬り伏せてやる! 覚悟しろオオオオオ!」


女性は、怒りを無理矢理大声と気合で掻き消し、冷静に怪物と向き合う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ