記録354『憤怒VS憎悪』
「うとおおおと!!」
イナミは、吹き飛ばされながらもバランスを何とか立て直す。
しかし、少年は伸びた手を使って、そのままイナミの首を斬り付けた。
「gびああ!!」
そして、イナミはそのまま動かなくなり死んだ。
「イナミちゃんが死ぬなんて……、珍しい」
「これは……第二形態が来るな」
「え?」
エレンは、二人の不穏な言葉に少しゾッとする。
『ウグイがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』
それと同時に、奇声のような怒号が響き渡る。
「え? なに! イナミさんまだ死んでますよね! まだ復活してませんよね? 何ですか? 今の声」
エレンの心には、不安が徐々に大きくなっていく。
「少年! 準……」
「……」
しかし、先程操っていた少年は、バラバラになって地面に散らばっていた。
「!! なに! なんなの!!」
エレンは、恐怖で辺りを見渡す。
しかし、目が二つ突如として潰れた。
「いぎぎああああやああああああああああああああああああああああああああ!!」
激痛に悶えながら、その場に蹲る。
「前が……前ガアア……」
「落ち着け! すぐに目を治せ! そして辺りを見渡せ!!」
エレンは、とにかく言われた通りに瘴気で目を治す。
「一体……一体何が……」
涙を流しながら新たに見開くと、首が飛んでいた。
「え?」
エレンは、しばらく動けなくなる。
そして、目の前にはイナミの死体が転がっていた。
「え? じゃあ一体誰が」
「あれだよ」
アンネートが指さす方向を見ると、真っ赤に燃えるような靄が、エレンを睨み付けていた。
『あぎぎぎあいぎああああああああああああああああ!! ゆずざらああああああい!!」
そして、悍ましいと思えるほどに靄は睨み付けていた。
「うご! ううぐ……うごけない」
エレンは、恐怖しながらもなんとか相手の情報を取ろうとする。
しかし、余りにも規格外のイナミの能力に、3人は恐怖する。