記録352『互いに見直し』
エレンとイナミは、正座させられていた。
「さてと、エレンちゃん……今度は君だ……君はイナミから緻密性を学ぼうとしているが惑の言ったイメージやインスピレーションを捨ててはいけない……そこをまた緻密にイメージしてその上で相手を理解すれば負けても相手を完全に支配出来る術を覚えれる」
「はい……えっと……アメナガスさんは一体この街の何なんでしょうか? ずっと気になってまして……イナミ師匠も頭が上がらなさそうだし」
「? 私はこの街どころか魔界の支配者だよ? デマフォス様からここを預かってるんだよ……」
「え? デマフォス様は一体何なんですか?」
「この魔界を疑似的に作り上げた云わば神的存在だよ……デマフォス様の世界に送り込んだバファハイド様はこの世界を借りてるんだよ……まあ人為的に作り上げられた魔王だからね……本物には完全に叶う訳でないよ……なんせ人の願いを叶える力と力を与える力……地の底の果ての神様だ……そんな彼等にだってあの魔王は敵わない……私達も……所詮上の上の指示に従う……どこの世界もそんなものだよ……まあ君も無駄な足掻きをしていっぱい後悔すると良いよ……さて! 訓練の……」
「いやいやいや、いけないいけない! 何! その無駄な努力だと言ってる感じ!!」
「いや……良いじゃない無駄な努力……皆に出来ないと言われたことが色々と出来るようなったんだよ、西院円惑君ならそう言うよ? そしてその無駄な足掻きを見せて上を怯えさせるのも私達の力だよ、勝という思いが大切なんだから」
エレンは、アメナガスの言葉に疑問を覚える。
「まあ、訓練して君が何処まで行けるかにもよるけど結局努力も無駄と理解しても続ける底意地が大切だよ……取り敢えずイナミにはもっと弱い相手を用意させる、君は無駄に思いながらも頑張れ! そしてイメージの話の続きだね! 取り敢えずはその人間の癖や体格、動き方を注意深く見て負けるんだ……負けるが大切なファクターだ……何故なら倒す時、勝った時の瞬間を頭に記録する事で君の瘴気の操作性は格段に強く緻密に操作できる!」
「そんなに簡単に出来る? んですか?」
「そうだねエ……君にはそれが合ってる……まずはあの子供に負けて?」
すると、弱々しそうな少年が石を持って、涙を流していた。
「母さんを……母さんを返せ!!」
「フフフ……ロメイトちゃん……また派手に殺したなア」
「イナミ、興奮しない」
「いやあああああああああああああああああああああああああ!」
「え! ちょ!」
「はい殺されて負けて、これ命令」
「ちょっとま!」
「しねええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「ぐ!!」
エレンの腹部は刺された。
 




