記録350『染み込ませる訓練』
「知恵の輪……解けるようになってきたね……大体2回で」
「……はい」
「それが君の限界だ……覚えておくといい……つまり君は一回は相手と戦わないと相手の事は分からない……情報戦に置いて不利だけど……その不利予め知っておけば対策もしやすい……」
エレンに対して、自身の不利を伝えた上で、イナミは作戦を立てていく。
「いい? 一回は負けてね……絶対に一回負けて……でないと君は不利に立たされる」
「惑から聞いた情報じゃ」
「ダメ……君自身で戦い負けるんだ……プランちゃんの勝負も忘れて……君自身が行う事で君自身の体に染み込ませろ……わかった?」
「えっと……はい」
エレンは、悔しそうにするが、しかしどこか自身を理解出来た様な清々しい気持ちであった。
「じゃあ今度は負ける訓練だ……丁度いい感じに負けてね……いくよ」
「え!」
イナミは、突然エレンの顔面を切り裂いた。
「ぎいぎあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ほらほら、ちゃんと負けて……負けて染み込ませて……私の弱点は何?」
「いいっでえ……いだい」
エレンはそれどころではなく、ただただイナミにズタズタに斬り裂かれていく。
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「あれ? なんで? 私の勘が鈍った?」
イナミは、首を傾げる。
いつまで待っても自分が勝ってしまう。
エレンが勝つ映像が全く目に見えない。
すると、少女がイナミに肩を叩く。
「そりゃ君が戦えば君が勝つでしょ?」
「アメナガス……アンネート……」
「やほー、イナミちゃん!」
二人の少女は、嗤いながらイナミの隣に座る。
「まずは弱いのに任せないと」
「弱いの?」
イナミは、理解出来ていなかった。
そんな時であった。
「おい、ファルトコン王、お前元は剣士だろ? 戦え」
「!!」
エレンの眼光が鋭くなった。
「ふふあ……あああ」
「勝てばお前の立場を良くしてやろう……良い条件だろ?」
「!! 良いだろう! 私とて元剣士! こんな子娘に負けるわけがない!!」
ファルトコン王にとってこれが最後のチャンスである。
もし負ければどのような非道が待っているか分からない。
だからこそ、負けられない戦いがそこにあった。




