記録349『緻密な動きと操作の頭脳』
「さてと……君は自分の使うべき技の精度を上げるには自身に漏れている瘴気……操るには操作する為の脳を鍛える……」
イナミは、当然のように知恵の輪を大量に出した。
「これ……緻密さを鍛えるのに大切……これ……操作を鍛えるのに大切……これ……相手の弱点を付くのに最適……これ……瘴気使って解いて」
「え? 知恵の輪で……こんなに沢山」
「そう……数を熟す……」
イナミは、渡した知恵の輪を解いては元に戻す。
「これは……本当に必要……だよ……難しいでは済まない……何故ならいつも初めてな奴……」
「!!」
イナミにとって、いつも同じ相手はいない、そう考えるイナミとエレンでは決定的に違う。
戦う為でなく、暗殺する為の戦い。
エレンは、未だ戦った事があるのは数人。
殆どが同じ相手であった。
本格的に戦ったのは、天山有志。
そして、弱点はかなり見え見えであった。
力で押し切る戦い方。
そのせいで、惑にすら戦い方を見切られる。
しかし、現在戦っている相手聖女は仲間が多い。
全てを相手するには弱点を見つける必要がある。
ならば発見次第弱点を見つけ注為の間隔を磨く必要がある。
それが、イナミの言う緻密さと操作性である。
緻密さは、弱点を狙う為の目とクリティカルさせる為の綿密な物の操作、操作性は攻撃をどのように当てるか体の動かし方を学ぶ為。
知恵の輪は、その為の代替品である。
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「えっと……」
エレンは、知恵の輪を一つずつ丁寧に解く。
しかし、それはイナミの言うところの緻密さと操作性ではない。
しかし、イナミは嗤う。
「ヒヒ……それで良い……何故なら不器用とはいえ今出来る自分の方法で解く……それを解き続けながら弱い部分を見つけて完全に解けるようにする、そして新しいものを用意して弱点を次よりはやく見つけるようにする、それを何度の何度も解く」
イナミの言葉通り、エレンは何度の何度も知恵の輪を解く。
時間は掛かる。
イライラもする。
しかし、それらを乗り越える事こそが、イナミのやり方。
体自身に緻密性も操作性も覚えさせる、一族のやり方。
産まれた瞬間からイナミが行っていた方法である。
「魂……今はそれだけだからできやすいよ……肉体がないだけにね」