記録346『no smokingー副流煙、ダメ、絶対! 暗殺者』
「はあ……はあ……はあ」
息を荒げながら、全ての煙草をオッサンの口の中に詰め込んで、閉じさせた。
「テメエが出した毒ガスだ……テメエで処理しろ」
イナミは、怒りを露わにしながら唾を吐き捨てる。
「相変わらずだな」
「うん……コイツ等のこれのせいで……私は故郷を追われた……いや……失った? いや……うーん……見失った?」
「森に住んでいて、そこで暗殺を学んでたけど、確か森林火災で家族と離れ離れだって? 可哀そうに」
ナリアとノリアが、説明する様にイナミの背中を撫でる。
「うん……今……皆いるから寂しくないけど……最近ではこの毒ガスが……鼻に付く……」
「悪魔になって敏感になったんだね……前からずっとそうだったし」
「暗殺者にとって………敏感さは必要……」
「そうかそうか」
「まあイナミちゃんはそれでこそって感じだね! エレンちゃん!」
「!! はい……」
「煙草は吸わない」
エレンは、ノリアの質問を聞いて、少し嫌悪する。
「ワタシが勤めていた屋敷でくっさい煙草の匂いが本当に嫌いでした……子供も吸って……っもはや気持ちが悪かったです」
「!! エレン……気に入った……友達になろう」」
イナミは、頬を赤くしながらエレンの手を摘まむ。
「えっと……それは良いんですけど」
「うん……友達」
エレンは戸惑いながらも、イナミの頭を撫でる。
「うふふ……気持ちい……」
「それは……その……気に入って貰えて何よりです」
ハウネウスは、微笑ましそうに言った。
「イナミはお洋服とかお化粧が好きだから……私の経営している店で好きな物を持って行って良いわよ、せっかくのお友達だし遊んで来たら?」
「ううん……コイツに処理させたら疲れた……少し寝る……お休み………………おはよう」
「はや!!」
数秒眠っただけで、イナミは顔色を良くさせる。
「暗殺者……レム睡眠を極める……君のところは天然だから45分が限界……」
「そうかイナミ! 目が覚めたか! なら本題だ! コイツを鍛えてやってくれ!!」
「いいよ……でも暗殺は向いていない……暗黒戦士なら……暗黒戦士としての才能を……磨き上げる……その為には……私みたいな四天王単独撃破出来る人……強いのが相応しい……能力なしで」
「そうだな……それに関しては本当にそうだ」
イナミの自慢に、周りは誰も反論する事が出来ず、頭が上がらない様子であった。