記録343『金と食を愛する姉妹』
「ぶはあ!! ごごおほお!! ごほ!!」
エレンは、喉にまで入った水を、吐き出す。
「もう、ハウネウスはったら、嫉妬深いんだから」
「だって! だってええええ!!」
ハウネウスは、泣きじゃくりながらロメイトに抱き着く。
「その子は私達がデマフォス様から預かった大切なお客様だよ! キッチリ遊ばなきゃ!! こんな程度の低い殺し方なんて……」
「ううう……ごめん」
ロメイトに罵倒されているにも関わらず、ハウネウスは申し訳なさそうに頭を下げる。
「えっと……遊ぶって?」
「溺れかけた時何しようとした?」
「え?」
エレンは、少し驚愕する。
「だって……息が出来なくなる瞬間、その瘴気で何かしようとしたでしょ?」
「!!」
エレンは、知らない振りを通そうとするが、完全に自身の作戦がバレていた。
エレンは、溺れた瞬間から瘴気から空気を取ろうと画策していた。
しかし、突如溺れさせられたので、すぐには対応出来ず、遅れて行動はしたが、対応しようと努めていた。
もうすぐで、地上に空気を貰えるところに来て、突如地面に上がった。
そして、目の前にはロメイトがいた。
確実にロメイトが何かした事だけは分かる。
「ああ! 私! 私がしたのは事実だよ! ふふふ!! 私の能力が当てれると良いね!!」
ケタケタと嗤いながら、ロメイトは短剣を片手で回す。
「私の能力を知りたいなら推測しなさい」
「貴方の能力は水があれば潜る事が出来るじゃない? 服も一緒って事は……自身が身に着けている物、持っている物も対象かな」
「!! ちょっと!」
「だから退屈な能力だって言ったでしょ? でもハウネウスが持ってくる藻掻き苦しんだ後の生きたいと心の底から初めて思ったような顔をした絶望の表情は何故か止められない!!」
興奮しながら、ロメイトはファルトコン王とファマルマ女王の顔面をお手玉のようにして遊ぶ。
「お前等! 遅せえぞ!! 時間は有限! 時は金なりだ!」
「ふふふ!! お腹減ったなあ! 食べるものない!!」
チキンを頬張りながら、遠くから二人の女性が現れる。
「ナリアちゃんにノリアちゃん! 相変わらず仲良いね!」
「ああ? 当たり前だろ! 私の愛するノリアを愛さない理由なんてないだろ?」
「そうそう! ノリア姉は愛しているんだよ!! もう! 食べちゃいたい!!」
ノリアは、涎をナリアに垂らしていた。