記録342『水も滴る恐怖の嫉妬女』
「ロメイトちゃん、どうしたのお~」
顔を赤面にさせながら、一人の女性がロメイトに抱き着く。
「私の作品を分かってくれない人がいるの」
「まあまあ! それは仕方ないわよ! 時代が貴方に追いついていないの! それは追い付いていない方が悪いわ」
ロメイトの頭を撫でながら、頬をスリスリと摩る。
「うおおお……なんだかすごい人」
「フフン」
女性は、ロメイトを抱き着きながらエレンに対して、勝ち誇ったような表情で見る。
「うわあ……」
「何よ、嫉妬? 醜いわ」
「えええ……」
更に、何故か罵られる。
しかし、エレンは心がスカッとした表情である者を見ていた。
「ふ、ザマア無いわね」
それは、ファルトコン王とファマルマ女王の生首が嬉しそうにしていた。
「あ! 嬉しい! それは凄く良い作品なんだ! さっきは薄汚いって言ったけど! ツンデレなんだね!! 嬉しい!!」
ロメイトは、自身の作品に感銘を受けたと思ったのか、エレンの手を握る。
「え……なんで……どういうつもり……」
すると、女性は蒼白な顔で、二人に近づく。
「ロメイトはね……私の大切な子なの……それを……あなた……奪う気ね」
「え?」
女性の顔面は、突如化粧が剥がれて、両頬が裂けた部分を現した。
「うわ! え! なに!!」
「ワタシはああああ!! 可愛いロメイトをおおおおおおお! 愛しているのおおお!! それをそれをそれをおおおお!!」
ブチギレた女性は、突如体中から大量の水が溢れ出る。
「ああ、ハウネウスがキレた」
「え? ハウネウス?」
「あぶぶぶぶぶぶ」
ハウネウスは、溢れた水の中に突如消えた。
「え! 地面だよね! ここ!」
「うん! そうだよ!」
「ハウネウスは何処に……」
すると、足元を引っ張られる。
「うわ! あぶぶぶぶぶぶ!!」
エレンは、当然のように水の中に引き摺り込まれた。
「ぶぶぶ!!」
「ばばばはははははあ!!」
ハウネウスは、ケタケタと嗤いながらそのままエレンを溺れさせる。
(マジかコイツ!! 嘘でしょ! 地面だよここ!! 何で海の様に深いの!!」
「ばbははははあ!! わだじののうりょぐ!! は! 水の中に入れる!! どこでも!!」
ハウネウスは、途中は拙い言葉であったが、突如流調に話し始める。
(やばい!! 息が……)
その時、気が付いた時には地面の上であった。




