記録339『回復方法』
「うぐいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! ああはいぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
巨漢男の体は徐々に痩せ細っていく。
そして、エレンの体は徐々に再生し始める。
「じょうぎいいいい!! じょうぎいいいいいい!! ごれざええええ!! ずえばああああああああああああああああああああああ!!」
エレンは、噛みついた歯を放そうとせず、必死に噛み付き吸い続ける。
「ああばばばばっばああ」
巨漢男は、瞬く間にガリガリになって干からびた状態で倒れた。
「あが……あがっが」
そして、そのまま絶命する。
「はあはあ、瘴気を……瘴気で回復できる……これさえあれば……この技を覚えれば……簡単に倒される事はない……」
エレンは、体や足、手まで何とか回復させて立ち上がる。
「取り敢えず……まだ何か必要な事がある……そんな感覚がある……再生程度ならプランちゃんだって出来る……でも私が求められているのはそれではない……」
エレンは考え続ける。
「さてと……まだここに来てそこまで時間が経ってないしそもそもここだけで終われない……なら私はもっと先を進むべきかな」
そして、エレンは魔界を歩き出す。
「おべええええええええええええええええ!!」
「あばああああああああああ!!」
何度か巨大な化物のような生き物が襲い掛かるが、先程の巨漢男ぐらいの強さであった為、同じように瘴気を吸って、対処した。
「さてと……普通に倒せる……体があるって最高だ……でも……体があるだけで倒せる相手はなあ……」
そんな時であった。
「ならば私が紹介してやろうか?」
声を掛けて来たのは、老人であった。
「貴方は?」
「ワシの名前はデマフォス……ここでは仙人のような暮らし方をしておる……お主……神が近くにいた臭いがする……しかも二人」
「なるほど……デマフォスさんは私に何を紹介してくれるんですか?」
「街だ」
「は?」
エレンは、首を傾げる。
デマフォスは、話を続けた。
「簡単じゃ……ここは貧民街……無法都市や普通の町に比べれば弱き者の集まり……」
「あの巨漢男で……弱き者?」
「ばーばるばーに会ったのか……奴はただの食欲旺盛な男の子じゃ……あんなのは子供の遊び……更にお前が倒したのは未発達な成長を遂げた獣……本番はもっともっと先じゃ」
「!!」
もっともっと先という言葉に、エレンは少しゾッとする。