記録33『パーティー』
それぞれが豪華なドレスとタキシード服の人間が集まっており、たくさんの料理と従者に運ばれてくる酒等を飲んで楽しんでいた。
「いやあ! この国に勇者様が召喚された事は実に素晴らしい!」
「ええ! 我々も鼻が高い! 以前ペプリア国付近の村が滅ぼされた事は本当に悲しい事です」
「きっと勇者様が彼等の仇を取ってくれます! 有志様ならばきっと!」
機体の声を聞いて、有志は少し緊張していた。
「皆期待している……少し緊張するなあ……でも! 俺がきっと世界を!」
「大丈夫です、有志」
「私達が付いている、仲間を信じればきっと何とかなる!」
二人は、有志の緊張を解そうと励ましの言葉を送る。
「ありがとう! 二人共! きっと皆となら俺は頑張れる!」
そして、有志は壇上へと向かう。
「それではご登場いただきましょう! この世界を守る為に召喚された勇者! 天山有志様です!」
「どうも! ご紹介に預かりました! 天山有志です! この世界の事はお任せください! 魔王を倒して必ず魔族や魔物達からこの世界を守って見せます!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』
盛大な歓声に、有志は少し心が躍った。
------------------------------------------------------------------
その頃、門番達はトランプをしながら寛いでいた。
「はあ、今頃城ではパーティーか……」
「俺等も豪華な飯食べたいなあ……」
酒を飲みながら、適当に外を見張っている。
「俺等必要か?」
「いや必要なんじゃね? よく分らないけど魔族や魔物が来た時に報告しないとだし」
「はあ? 魔族なんてこんなところに来ることはないだろ? だって魔族量めちゃくちゃ遠いぜ? 今までだってそうだろ?」
「まあこの国を襲おうとしたのも貴族共が飼って面倒見切れなくなって捨てた魔物だけだろ?」
「因果応報とはよく言ったものだ」
二人は、爆弾発言のような談笑をしながらつまみを食べる。
「お? なんか来た」
「?? 人か?」
酔った為か、それとも暗闇の為か、目を凝らして相手を良く見ようとしたその時だった。
「gふあ!」
「え? どうし……」
隣の男が大きな岩で潰れていた。
「あああ……あああああああ……」
男は、唖然としながら震える。
「だ! あぼうう!!」
しかし、助けを呼ぼうとした瞬間首があらぬ方向へと曲がった。
「適当に仕事してるから……君達は死んだんだよ、きっと罰が下ったんだよ」
惑は、見下すように門番達を踏み付けて、近くにあった門番達が横領で溜め込んだ金が置いてあった。
「これは返して貰うよ、戦利品って奴だ」
「惑……泥棒」
「そう言って君はその門番を死姦して純潔を泥棒してるじゃないか」
イネは、思わず門番の死体で性交していた。
「あ!! 思わず!」
「イネさん……アンタ」
改造された村人達もドン引きしていた。
「はいはい、皆! 戦利品を貰ったから攻めるよ」
「分かりました」
「あぞびだあああい!!」
アル―も我慢できない状態になっていた。
「そうね~もっと遊びたいわよね~岩投げて終わりじゃ集まらないわよね~」
母親も肩に乗ってアル―を撫でていた。
「ねえ惑? どうしてあの母親は改造しなかったの?」
「望んでなかったから、でも分かった事がある、あのアル―君が言う事を聞いている……魂の寄せ集めて錬成しただけだが凄い事が起こった」
イネは、首を傾げる。
「それでなんでアル―君は母親の言う事を聞くの? 寄せ集めた魂なら母親ではないでしょう?」
「簡単に説明できる、多分刷り込みだ、アル―君の記憶には母親との思い出がある、それが寄せ集めた魂に刷り込まれて母親のいう事を聞くんだと思うよ? いやあこれは感動だ」
「うん……そうだね」
「それに多分この人を改造しなかったからこそだと思うよ、必要な改造と必要じゃない改造があるってことだよ、これは必要のない改造だ! 母親は母親のままでアル―君と仲良く出来るんだよ!」
「ふ……ふーん」
そして、イネは唖然としながら村人を見送った。
「ルーズさん! 僕の考えだとあそこに貴族が集まってる! 先行隊が中で暴れるから逃げた貴族の子供を玩具にして遊ばせてあげて!」
「ありがとうございます! 錬金術師様! 行こうか! アル―」
「ううううん!!」
そして、二人は嗤いながら城の方へと向かった。
「きゃああああああああ!!」
「助けてくれえええええ!」
「あああああああ!」
村人達は、ドンドンと街にいた商人達やその子供達を殺して回った。
------------------------------------------------------------------
「アレン……ここが隠し通路か?」
「ああ、バワカさんとアワホさんの言う通りだ」
アレンは、先行部隊と共に城の内部へと侵入した。
「今だ、襲え」
『うおおおおおおおおおおおおおおお!!』
「え?」
見回っていた衛兵は首が落ちた。
「ふぁ! ファルトコン王に! いや! 勇者様に言わなければ!」
「たすけぶべえ!」
「フン、こんなに弱いのかよこいつら」
村人達は、嬉しそうに国落としを始めた。




