記録326『禁断症状』
知実に救われた3人であったが、それぞれ突如として異変が起こった。
「うぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! 光合成いいい!! ほしいいおおあああおあおあおあおあああああああ!!」
ある者は、髪を毟り千切りながら涎を垂らす。
「ああ! ああああ! ああああああああああああああああああ!! 光合成できない! 光合成できない!! あがああああああああああああああが! が! がああ!!」
ある者は、何度も何度も頭を地面に叩き付ける。
「おう! おう! おう! おう!! 光合成おう!! おう!」
ある者は、オットセイのような声を上げながら、地面に横たわり、魚のように何度も何度も飛び跳ねる。
「!! これは一体!!」
「禁断症状……共依存って言うのは……相手にだって依存する為のメリットがある……3人はその共依存から強制的に解かれてしまった……そんなの出るに決まっている……ああ、可哀そう」
「ぐい! ぐぎぎぎぎg!! あああああああああああ!! ほしい! おれもおおおお!!」
「!! おい! 落ち着け! 急にどうした!」
そして、先程の騎士の一人も、涎を垂らしながら首を掻き毟る。
「ああああああああ!! うぐ!!」
そして、首の頸動脈をそのまま引掻き斬り、涙を流しながら倒れる。
「あうあう……光合成……光合成……」
「そんな……」
「ふざけるな! 全部お前のせいだろう!」
「酷い!! こんなことをするなんて!!」
知実は、涙を流しながら、倒れた騎士を抱え、ウィリアムは、怒声をプランに浴びせ、ラネスネは、泣きそうになりながら、プランを憎しみの目で見る。
「だあかああらああ!! 私と共依存する事を選んだんだって! 皆そういう生き方を喜んでいるのに良さあ!! 正義だの何だの適当な理由でそれを奪うからでしょ? 皆見たあ!! これがあいつ等のやり方あ! さあ! 自分達の平穏の為に! 命懸けで頑張ろう!!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
そこにいた人達は、皆命を投げ出すかのような無謀な特攻を仕掛ける。
「貴様! 人の命を! いや! 命を何だと思っている!」
「そうです!! 死んでゆく者の! 大切な人が奪われる気持ちが分からないのですか!!」
「は? だから?」
ウィリアムと、ラネスネの言葉を聞いて、プランは見下すようにキョトンとする。
知実は、命の大切さを理解出来ないプランに怒鳴る。
「やはり! 貴方はこのまま放置するわけには行きません! 正義ではない!! 貴方は間違っている!! 命の重みを知らない者に! 命を預かる資格はありません!!」
「何を言ってるの? 朽ちる命は朽ちる……ただそれだけでしょ? そんな下らない価値観を持って意味のない事を重く捉えているのは人間だけだよ? 貴方達だって動物の一匹がいつの間にか死んでいても……森の木が一つ減っても気にならないでしょ? 私も一緒!!」
冷たい顔で、プランはニタリと嗤った。