記録325『暴論』
「見つけましたよ……」
「ふーん……なるほど……そうやって来たんだ……召喚者って予測出来ない様な事をするんじゃなくて……予測出来ない能力を貰ってしか意表を突く事しか出来ないの?」
プランは、見下すように知実達を見る。
「彼女の力は彼女自身の愛によって発動している! 彼女の正義の心と我等を愛する心が我々を守っているんだ!」
「ふーん……正義……ねえ」
ウィリアムの言葉に、プランは鼻で嗤いながら睨む。
「そんな下らないものがいつまで通るか……」
プランの言葉に怒りを露わにしながらも、知実は冷静にプランを睨む。
「貴方はヤリ過ぎたのよ……このような事を引き起こしておきながら……そして人々がこのような状態になるなんて……貴方は人を洗脳して自分の思い通りにするだなんて……常軌を逸しています! そんな悍ましい事をして! 許されるわけがありません! 正義の名の元に貴方を討伐します!!」
「討伐? 弱いくせに討伐? お前が私に勝てたのはお前の能力が神から貰ったギフトだからだろ? そんなどうでもいい貰い者の分際でこの今の私に勝とうって? アハハハハ!! 本当に面白ーい」
プランは、大量の人間を呼び寄せて指で知実達に向ける。
「いけ」
「ひゃはははあ!!」
「死ねええええええええええ!!」
「自然の力ああああああ!!」
大笑いしながら、襲い掛かる人々。
しかし、知実は愛の加護の力で全ての人間達の洗脳を解除する。
「!! 俺は……」
「何……どうして」
「え? え?」
人々は、唖然としながら周りを見渡す。
そして、涙を流した。
「良かった……皆元に戻……」
「なんて事してくれたんだ! とっても良かったのに!!」
「光合成して凄く心地よかった! それを奪ったっていうの!!」
「ふざけんじゃねえぞごラアア!!」
しかし、当然のようにブチギレ始める人々である。
「え……なんで……一体どうして……」
「え? だって皆私と共になれて幸せを感じていたんだよ? 嬉しくて仕方なかったんだよ? 私の意見に賛成だったから皆私と共に入れたんだよ? 植物のように光合成して生きる……それがとても素晴らしいって気付いたんだ……それをお前が穢した……台無しにした……正義なんて言う暴論を使って……ねえ? どっちが間違ってるのかな?」
プランは、知実の目を間近でじっと見ながら質問した。