記録324『正義VS自然』
「聖女様! この森です! お気をつけ……ラーラー! ラーラーラーラー!! ラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラー!! ラーラー! ラーラーラーラー!! ラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラー!! ラーラー! ラーラーラーラー!! ラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラー!! ラーラー! ラーラーラーラー!! ラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラーラー!!」
「!! まさか……近づいた瞬間から既に……」
「知実……このままではドライアドに辿り着く前に皆全滅する」
騎士の一人が、歌いながらそのまま森へ突っ込む。
その様子を見て、聖女達は足を止めるほかなかった。
「でも……聖女様……どうします……森は広がり続けています……このままでは皆いずれ……」
心配そうにしている少女は、聖教魔導士団の団長ラネスネ・ファークタ。
彼女は、背は小さいが立派な大人である。
そして、実力はウィリアムの戦闘技術と遜色のない強さを誇っている。
「っく……一体どうすれば……」
流石の知実ですら、この状況をどうにかする方法が思い付かない。
しかし、その時であった。
『神からのギフテッドを受け取りました、愛の加護を手に入れました』
「愛の……加護」
その瞬間、狂ったように森の中に突っ込んだ騎士の動きが止まる。
「私は……一体何を……」
「これは……まさか聖女様の愛の力」
「聞いた事があります! 聖女様は愛を力にし、正義を執行する、そしてその愛はこの世界の闇を払うと……」
「しかも植物に汚染された騎士を助けた……恐らく……あのドライアドの力を邪悪であると捉えて正義を執行したという事か!!」
『おおおおお!!』
騎士達は、歓喜に包まれる。
ウィリアムも、喜びで知実の手を握る。
「ありがとう知実! これで奴を討てる!! 西院円惑にだって勝てる!」
「ありがとうございます、ウィリアム様……その……てを」
「あ! すまない!! つい……」
二人の姿を、微笑ましくラネスネは、見つめる。
「それでは行きましょう! あのドライアドを止めるのです!!」
そして、正義の為の戦いが始まる。
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「ふむ……胞子を突っ切って来た……どういう事? 皮膚という皮膚に入り込むし穴という穴に入り込む……それなのに……」
プランは、頭を悩ませて考える。
しかし、愛の力が神によって与えられて、抵抗が可能になったという予測など出来るわけがなかった。
「まあいいや……今考えても分からないという事は恐らく予想の付かない状況……なら実際に見て対抗すれば良い事……自然の驚異を見せつけてやる……」
プランは、ニタリと嗤いながら聖女達の到着を待った。