記録320『世界を一つに』
聖教騎士団、聖教魔導士団が、プランに支配されたオーガの里に入る森へと入って行った。
「フン、まさか西院円惑が生み出した魔物の中にドライアドがいるとは……地に落ちたものだ」
「全くだ……ドライアドと言えば人間の味方の精霊で、清い存在だと聞いていたのに……魔に堕ちるとはな」
人は、見たいように見る。
まさにそれを見せつけるような姿である。
「我々人間を裏切るという事は、まさに悪の道……正義を見失うと同等だ……全く罪のない我等を襲うとは……罪を重ねる愚行を」
「うんうん、これは聖女様に選ばれし我々の正義を見せつけるべきだろうな」
当然、彼等も教会、聖堂を建てる為に森を切り開いた。
そして、動物を食べる事は罪だと考え、草木を食すといった、自然的流れを逸脱するという行為。
人間は、動物を食べ、植物を食べるというサイクルによって均等に減らし、また動物達も草食がおり、肉食がいるというサイクルによって、バランスを保っている。
増えて減ってを繰り返す事が、バランスサイクルを保っている。
その均衡が崩れる事、ある一定の異常繁殖、強欲、天災、様々な自然影響かによって、それらは簡単に崩れる。
そして、人間が強欲に執り行われる森の切り開き、動植物の乱獲、密漁を行う事により、発生する事柄もある意味では自然ではある。
しかし、それらに対して対抗するという行いもまた、自然の摂理である。
『だから……私がお前等を乱獲し、操り、犯す事も……また自然の摂理……惑の言う通りだね』
「うぎ!!」
「ん? どうし……うわああああああああああああああああああああああ!!」
騎士の一人が、隣の騎士を見ると体中から植物が生えていた。
「なんで! 聖女様のオオオ!! 加護があるうのにいいいひいいいいい!!」
悲鳴を上げながら、騎士は尻餅を着く。
そして、そのまま根を張って植物へと変異する。
「うわあああああああああ! なんだ! なんだあああ!!」
「見えなかったぞ! 種なんて! 寄生するつるなんてえええええ!!」
皆が、理解出来ない状況が起こっている。
しかし、植物塗れの騎士は嗤いながら言った。
「ああ、良い……なんて素晴らしいんだ……皆さん、これは……とても良いモノです……さあ皆……拒まないで……新たな境地に至れる……これこそが我々が求めていたもの……必要に欲していたもの……心地いものだ……皆こうなれば一つになれる……平和が持たされる」
「何を! 何を言っているおおおおお!!」
恐怖しながら、騎士達は逃げようとした。
しかし、突如皆恍惚の表情を浮かべて言った。
『ああ……ほんとうだ……心地い……一つになれる』




