記録316『必ず倒そう』
「そうだったんですね……大丈夫です! 聖女様! 貴方と西院円惑は違います! 貴方のような高潔な人間こそがこの世界における英雄です! 西院円惑のような勇者とは劣る事によって悪の道へと行った外道のような者との繋がりなんてありません!!」
「そうです! あんな人間の姿だけの化け物を兄だなんて思わなくていいんです!!」
「そう……ですね……ありがとうございます」
知実は、少し暗い顔をしながら胸にどこか痛みを感じる。
「取り敢えず……聖女様である知実の力を使えば奴に抵抗できる……しかし……バファハイドや西院円惑が生み出したイネに対して有効かだ……プランと呼ばれるドライアドは倒せそうだけど……彼女もまた……惑に騙されている哀れな精霊だ……」
「ええ……どうにかしてプランちゃんを救ってあげたい」
「後後ろにいた暗黒騎士……彼女は元々村の娘だと聞いている……彼女もまた西院円惑の悪の実験材料にされてあの状態へと至ったと聞いている……どうにかしてあの子の悪を取り除くべきだ……」
「ウィリアムさん流石です! 俺達も西院円惑によって縛られている二人を助けるべきだと考えています!!」
「その通りです! あの獣人は難しくても! 今も尚奴に捕まっている者達が居ます! 中には改造されてそのまま特攻をして死んだ者もいると聞いた! そんな哀れな殺し方をする奴の手の中に置いておくわけにはいかない!!」
他の聖教騎士団や聖教魔導士団も賛同していた。
「そうですね……でも……少し気が掛かりがあります」
「知実様?」
「あの西院円惑の様子……いつもの兄さんとは違うような気がするんです」
「違うとは?」
シスターが、首を傾げ名が確認する。
「分かりません……でも……やはりあの人の近くで生活していたか……普段の兄さんでありながらどこか……そう、兄さんのフリをしているような違和感が……」
「恐らく奴は偽物何だろう……影武者と言ったところか?」
「いえ……影武者は少しピンときません……兄さんでありながら兄さんでない……そのような感覚に襲われるのです」
知実は、少し言いずらそうにしながら頭を悩ます。
「大丈夫です! 例え相手が違ってもそいつは西院円惑と同じ悪人でしょう! そいつも倒しましょう!」
「そうです! 倒すなら関係ありません! 結局同じ敵です!!」
皆が、そうだそうだとひとりでに勝手に納得していく。