記録313『やはり』
「うぎいいいいいいい!! 何でなんでなんでええええ!! プランは勝てたはずなのにいいい! 勝てたのにいいい!! どうしてなのおおおおおおおおおお!!」
悲鳴を上げる様に地団太を踏みながら、悔しそうに泣き出す。
「ここまでです! 貴方の思い通りにはなりません!!」
知実は、睨む様にプランに言い切った。
「うぎいぎぎぎいいいい!!」
プランは、自身の葉を噛み付く程、怒りに燃えた。
「どうしてどうしてええ!! かてなあああいいいいいああああああ!!」
怒りが暴発しそうになりながら、癇癪を起す。
「おやおや、大変そうだなあ……大丈夫かい? プランちゃん」
すると、プランを声を掛ける一人の少年の声がする。
「!! ああああ! あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
涙を流しながら、少年の胸に飛び込む。
「!! 貴様……西院円惑!!」
「やはり……貴方なんですね」
「あ! 来てたんだ! この世界に!」
「兄さん!!」
「!! 知実……兄さんって」
「フフフ、久しぶり知実、お兄様って言ってもいいんだよ?」
知実は、苦しそうにしながら黙る。
「知実……まさかあいつが……」
ウィリアムは、驚きながら知実に聞く。
知実は、言いにくそうに答える。
「名前を……聞いてから嫌な予感はしていました……でも……やっぱり顔を見て……理解……しました……」
「知実……」
「はい……私は……西院円知実です……西院円惑の……妹です」
イネは、その言葉を聞いて涎を垂らして驚く。
「えええ! 惑! 妹居たの!」
「うん」
「言ってよ! 交尾したのに!」
「だから言わなかったんだよ……」
エレンは、イネの頭を殴った。
「気持ち悪いです……」
プランは、涙目で聞く。
「惑怒ってない? プラン妹イジメたけど?」
「え? 別に……僕は別に妹がこの世界で戦うと決意したと考えてちゃんと君のしている事を公認するよ? そもそもこんなところに来ている時点で覚悟あるでしょ? なら僕はそこまで過保護になるつもりはない、それが彼女の可能性を広げる助けになるなら!」
「兄さんはいつもそうですね……可能性可能性……そんな事の為に! どれだけの人を苦しめたか! 分かっているのですか!」
「可能性の為の苦しみは許容するべきだ……特に自分がそうなりたい、そうしたいと思ったのなら苦しみなしで得られる事なんてほとんどない……楽して手に入るって事はその後の応用も効かなくなる……寧ろ苦しみを知っていれば対応だって出来る……絶望だって乗り越えられる……人はもっと苦しんで苦しんで苦しみ尽くすべきだよ……楽が可能性を潰す事の方が多いんだから」
知実は、惑の言葉を聞いて、頭を抱える。