記録310『仲間と書いて』
「!! うううううう……どうして! どうしてなのおお!!」
プランは、思い通りにならず癇癪を起していた。
目の前の騎士2人は、自身が聖魔力で強化し、普通の人間では倒す事の出来ない。
魔獣レベルに、無理矢理引き上げたマリオネットである。
プランの指示が、逐一脳に送り込まれており、戦況を見るプランが戦い方を決めている。
そこまでのお膳立てをしているにも関わらず、敵である騎士、更には聖女に逆に押されていた。
「もおお! おうええええええええええ!! プランの子! プラントファクトリー!! 二人の手助け!!」
「グシャああああああ!!」
「がひゃああああああああああああ!!」
吐き出した種を地面に埋め込み、そのまま成長した食虫植物2体が、寄生騎士達のフォローに回る。
しかし、騎士達は未だ余力を残していた。
「後方から食虫植物2体!! 油断するな!」
「防御を固めろおお! 攻撃部隊と防御部隊で牽制するうう!!」
騎士達は、防御と攻撃のバランスを取りながら、最小限の動きでプランの騎士2人を斬る。
しかし、当然寄生生物に乗っ取られている為、死ぬ事はない。
「もおおおお! バンカース! 殺せええ!」
「うごあああああああああああ!!」
先程二人を寄生したバンカースを、前線に送り込み戦力を上げる。
しかし、それでも尚、騎士達の攻撃、防御を崩す事が出来ない。
「ヒーリング!」
聖女である知実も、プランから受けた攻撃をすぐさま治療する。
「ありがとう! 聖女様!」
「流石は聖女様!」
「油断してはいけません! 皆で生きて帰りましょう!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
「うううがおおおあああああああああああああああああああああああああああ!!」
地団太を踏みながら、プランの怒りは絶頂へと達した。
なぜ勝てないか、プランは理解出来ていなかった。
彼等とて、聖教騎士団であり、訓練を欠かさず、魔物を倒す為に実践訓練をし続けた。
云わば息の合った連係プレイを取る事によって、数々の強敵達を退いて来た。
そんな彼等の技術に、生まれて間もなく、イネやエレンの戦闘をただ手伝っていたプランに、勝つ為の技術まではなかった。
「どうすうううるううう!」
怒りが止まらぬまま、プランは睨み付けるしか出来ないでいた、その時であった。
「プラン殿だけに任せてはいけない! 俺達の里は俺達で守るんだああ!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
「あれは! オーガ族だと!」
「まさか! そんな!」
「皆……」
プランを助ける為、レイトとテェイア、そして里のオーガ達が加勢に入った。
「すまない、プラン殿……俺達の里なのに君だけに任せて」
「私達も戦うわ! 貴方の助けがあればぜtt……あぐ!!」
「みーつーけえええたああああああ!! ありがとおおおお!! 加勢感謝ああ!! まさか自らそうなってくれるなんてええええ!! 嬉しい良い良い良い!!」
「え……え……」
レイトとテェイアは、プランを励まそうとしたその時、テェイアの頭にプランはつるを突き刺して、種を植えた。
「なんで……どうして」
「皆私の苗床になれえええええええええ!! やたあああああああああ! これで勝てるうううううううううううう!! うっふうううおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「あ……ああ……あああああああああああああ!」
「やめ! やめがああああああああああああああ!」
「なにを! ないんが!!」
「たすけて!」
「がやああああああ!!」
一瞬にして、助けに入ったオーガ族の阿鼻叫喚が広がった。
「お前……一体何をしている」
ウィリアムは、その光景を見て、プランを睨み付ける。
「何故そんな……仲間なのではないのですか!!」
知実は、当然怒りをプランにぶつけた。
プランは、ヘラっと嗤いながら答える。
「仲間あああ……そう! 仲間ああああ!! 仲間と書いてええええええええ! 苗床おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」