記録307『残虐非道で凶暴な者達への提案』
「うわあ……流石鬼神族……凶暴で残虐非道を当然持っている……倫理的な生活に慣れた者が見れば悍ましい光景だね」
「そうだね……惑……どうするの?」
「簡単だよ……残虐非道な提案をすればいい……」
イネの質問に、惑が答えるとエレンもイネも嫌な予感がした。
「ヒャアハハハハハ! 最高だなあ!」
鬼神達は、楽しそうしながら槍で串刺しにしたレイシュリーを分解した揚げ物を掲げながら大喜びする。
「ああ! この無様な顔をよおお! 最高だぜええ!」
「でもよおお……たまには俺達自身の命を危機を味わえるような刺激的な殺し合いがしたいものだよおお!」
「ああ……だが魔族で足りてんのか……俺達に声掛んねえなあ……」
退屈そうにしながら話していると、一人の少年がやって来た。
「やあ! こんにちは!」
「……人間だあああああああああああああ!!」
大喜びしながら、鬼神族は惑達を捕まえようとした。
しかし、エレンは一人を真っ二つに切裂き、イネは一人を殴って顔面を陥没させた。
惑は、合気道で転ばすとそのまま改造スキルで体を爆発させた。
「……いひ! いひひひひひひ!! 最高だああああ! ヒャアハハハハ!!」
「これだよこれ~これが欲しかったんだあ~さ! 殺し合おうぜええ」
鬼神族は、老若男女問わず、涎を垂らしながら惑達を囲んだ。
「まあ、少し提案を聞いてくれないか? 君達を魔王軍の兵に入れたいんだ」
「!! え? いいのか……」
「殺したり殺されたりという刺激を味わえるのか?」
「殺した相手で死姦して生ましてもいいのか?」
惑の提案を聞いて、鬼神族は狼狽えながら話を聞く。
「ああ、その通りだ……だから君達を雇いたい……前からその話は通ってたはずだけど……その様子じゃ話を聞く前に殺してたみたいだね」
「え?」
「おまえ……マジか?」
「いやいやいや! 皆で襲ったろ?」
「ああ! あれかなあ? もしかしてアレかなあああ!」
思い当たる節が、大量にあった鬼神族は、のた打ち回るほど顔を真っ赤にした。
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「もうすぐオーガの里へ着きます……知実様」
「はい……皆無事であってください」
「大丈夫だ、きっと……」
知実は、腕を絡めながら祈りを捧げる。
ウィリアムは、知実の肩に手を置いて安心させる。
「流石団長……聖女様とお似合いだ」
「ああ、俺はこの二人を応援していますよ」
部下達は、その姿を微笑ましく思いながら見守っていた。
そして、まだ知らなかった。
二人をいつまでも見守る事が出来ないという事実に。