記録306『鬼神族文化』
「さあ! 皆の者おお! 今日は冒険者二人を捕えたああ! 我等鬼神族の祭りを始めるぞおおおお!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
「止めてええええええええええええ!」
「頼むうう!! 助けてくれえええ!」
レイシュリーとアンドンソンは、縛られて鬼神族の見世物になっていた。
「おいおい、俺等を殺す気でいたんだろ? ならさああ! 俺等に何をされてももう関係ないよなあ! 俺等の村に近付いたって頃は俺等の欲求に応えてくれるんだろう? ああ? 楽しみだぜえ! テメエ等の涙でぐちゃぐちゃになる姿とぐちゃぐちゃになる体をよおお!!」
「ひいい!」
「頼む! レイシュリーだけは! レイシュリーだけはあああ!」
「分かった! ならまずお前からだあ! お前だけはレイシュリーさんには苦しむ姿を見せない様にしてやろう!」
「なんでええええ!」
アンドンソンは、涙を流しながら鬼神族のに引っ張られて行った。
「さあて! どうする! どんな苦しい殺し方にしようか!」
「何だよそれ! ふざけるなよおお!」
「はあい! 皆で圧し潰すのはどうですか!」
一人の子供は、まるで楽しそうな表情で笑っていた。
「おお! そうだな! いいじゃないか! やってみよう!」
「やめてええええええええええ!!」
レイシュリーは、悲鳴を上げる様に鬼神族の静止を試みたが、全く聞く耳を持たなかった。
「じゃあまずは子供達からだあ!!」
『やったあああああああああああああああああああ!!』
数百人の子供達が、一気にアンドンソンの上に乗り掛る。
「っぐ!」
「アンドンソン!」
「へへへ、大丈夫さ……これぐらいの重さ……」
「次は老人だああ!」
「ワシゃああ楽しみじゃああ!」
「ヒッヒッヒ、いいねええ」
そして、お爺さんとお婆さん数人が乗り掛った。
「ぐ! おいおい、お前等……そのままじゃ子供が死んじまうぜえ……」
苦しそうにしながら、アンドンソンは笑いながら司会者の男に言った。
「ああ、大丈夫だよ、鬼神族は頑丈なんだ……俺達はこんな程度では死ぬ事も傷付く事もない……ダメージすらないんだ……それだけの強靭さを持って生まれてくる……さ! 再開しようか!」
「いやああああああああああ! アンドンソン!!」
そして、ドンドンと女鬼神と男鬼神達が、徐々に乗っていく。
「んぐううううう、んぐうううううう……」
鬼神族の下から呻き声のようなものが聞こえながら、骨が軋むような音が鳴る。
「ああ……アンドンソン……お願い……死なないで……」
「さあ! クライマックスだああ! 最後の巨体鬼神の登場だあああ!」
「え……何よそれ……」
そして、司会者の言う通り次に現れたのは、全長5mもある大きさの鬼神であった。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」
それも一人ではなく、数十人である。
「やめてええええええええええええ!!」
「いっぎままあああああああああああああああああああず!」
そして、巨体鬼神が一番上に乗った瞬間、地面が抉れ、地響きが鳴り、そのまま下から漏れる様に血が溢れ出た。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
レイシュリーは、涙を流しながら悲鳴を上げる。
「じゃあ次は女だ! 美味しそうだなア……」
「ああ、その通りだ……ジュルリ……楽しませて貰うぞおお」
「まさか……私を……やるならやりなさい! 私の心は! アンドンソンの者なんだから! 心は穢れないんだからああ!!」
「は? 何を言ってるんだ? みんな! コイツを生きたまま煮るぞおお!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
「え? いや! 止めて! おねがい! 止めてください! いやああああああああ!」
レイシュリーが、考えていた事とは違い、鬼神族は大きな鍋を用意すると大量の油を入れ、業火魔法でグツグツに温めた。
そして、悲鳴を上げるレイシュリーを衣に絡めて、そのまま揚げ物にした。
味はとってもおいしかったの事である。




