記録304『帰って来ない聖教騎士団』
「かんぱああい!!」
四天王の一人、不死のアフーンダを倒す事が出来、兵士や騎士、そして魔導師団も嬉しそうに酒を飲む。
「すみません、知実様……まだ戦いは終わっていないのに……こんな宴なんて……」
「いえ、皆様も頑張って頂きました……彼等のお陰で勝てました……なので皆様には英気を養って貰いたいんです」
「そうですか……分かりました! では皆様にはこのまま楽しんでもらいます」
そして、数時間楽しい宴は続く。
皆も酔いが回り、盛り上がりが最高潮に達しようとしたその時であった。
「大変です! オーガの里へ向かった聖教騎士団からの連絡が途絶えました!」
「は!」
「それはどういうことですか! 彼等は聖教騎士団の中でもトップクラスの強さを誇っております! オーガの力は聖魔法が効くあのアンデットの四天王より倒しにくいという事で派遣したというのに!」
「それが……最初の内は形勢を保てていたそうですが……突如悲鳴だけが聞こえるだけになり、その後誰の声すら拾える事も無くなりました!」
「!! 一体オーガの里で何が……」
「……シスター……私が行きます」
「!! 知実様! いけません! まだ状況が分からない以上不用意に近づいては」
しかし、知実はシスターの静止を聞いても言い返す。
「シスター……言いたい事は分かります……しかし私はこの世界を救う為に召喚されたはずです……異常事態が起こった以上……そこに出向く事こそが私の役目ではないでしょうか? 貴方達は魔王の異常な強さ……そして勇者召喚時にともに現れた錬金術師のイレギュラーによって敗北を一度味合わされています……ならこちらも……私自身が出向く事にこそ意味があるのではないでしょうか?」
「!! 確かに……そうかもしれませんが……」
知実は、微笑みながらシスターの目を見る。
「大丈夫です……私なら大丈夫……」
「そうですよ! 私達だってついて行きます!」
「そうだ! 聖女様さえいれば俺達は何処までも戦える!」
「私も行こう」
「ウィリアム様……」
知実は、その聖騎士の青年を見て頬を染める。
「知実……君が強いのは知っている……しかし君一人では危ない……せめて私達に守らせて欲しい……大丈夫、私達は負けたりしない……信じて」
「はい……」
シスターは、顔を赤くしながら口元を手で押さえる。
そして、少し落ち着きを取り戻し、知実の手を握る。
「分かりました……それではお願い致します」
「はい!」
「任せてください」
そして、知実はウィリアムとそのほかの聖教騎士団と共に、オーガの里へと向かった。