記録299『オーガ族』
「あの約束を守る時が来たかな」
「あの約束? 一体何の?」
惑の言葉を適当に聞きながら、イネはオーガ型ダッチワイフを弄って遊んでいた。
「やーやーテェイア! 今日のここの具合はどうかなあ?」
「いやーん! レイト―!! 皆が見てるう―! 皆が見てるー!!」
イネの下手な腹話術で、二つの人形を使い、強姦ごっこをしていた。
「ヒャーーーーこわれひゃううううう! こわれひゃうううううう!!」
「ははは! 俺のビッグ鬼マウンテンをくらええええ!!」
「らめえええええええええ」
「そのダッチワイフをオーガ族に蘇生させて返すんだ」
「え……」
イネは、絶望の表情でさっきまで遊んでいたオーガ二匹を手から落とす。
「え? え? ええ? なんで? なんでなの! おかしいよそんなの! これは僕のダッチワイフだああ! 絶対にいいい! 絶対に誰にも渡したくなあああい!!」
「でもお前もう性玩具じゃなくておままごとに使ってるじゃないか」
「それはああ! それはダッチワイフ強姦ごっこをしているだけでええ!」
「じゃあお前それにいつち〇こ入れた? そのち〇こいつ自分のま〇コに入れた?」
「それは……ナニはナニ! ねこはねこ!!」
何が言いたいのか分からない様な言い訳をしながら、イネはダッチワイフを渡そうとしない。
「採取」
「ああ!! ずるいおぞおお!! 僕のだアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
悲鳴のような金切り声を上げながら、イネは惑を襲い掛かる。
「よっと!」
「どばあああ!」
普通に避けられて、壁に顔面から激突する。
「ちょっと待って! そもそも魂は!」
「あるよ? ここに保管してあるんだ、試験官に」
「なんであるのおお! それを壊せばああ!」
イネは、魂を放出して生き返れない様にしようとした。
「でももしコイツ等が生き返ってイネの体なしでは生きられないって言ったらどうするの?」
「ええ!」
イネは、凄く嬉しそうな表情をしながらその場に止まる。
「そ? そうかなあ?」
「そうだよ」
「本当に本当?」
「今まで君を拒んだものは?」
「いない!」
(どうして自信満々に答えられるんだろうか……エレンちゃんやテュリアメルだって拒んだだろうに)
惑は、イネの興味に少し違和感を覚えるが、気にしないようにした。
「じゃ、生き返らせるからいいね?」
「うん!!」
そして、ダッチワイフとなったテェイアとレイトの復活実験を始めた。