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記録298『ばくん!! んんんんんん!! オイシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』

「聖女様……いえ知実様、よくお似合いですよ」

「はい……ありがとうございます」


知実は、少し不安そうにしながら聖女の力を引き上げる為の装備に着替える。

白い絹のドレスに、頭には茨に似た冠のような物を被っている。


「知実様……この世界を脅かす者が二人います」

「二人ですか? 一人ではなく?」

「はい……一人目はこの世界を支配し魔族だけの世界を生み出そうとする古代の魔王……バファハイド」

「古代の魔王……そんなのを私が倒せるのでしょうか……」

「大丈夫です! 今は悪辣な人間に再起出来ない様にされていますが、伝説の勇者! 天山有志様が居ます! 彼であればバファハイドなんて瞬殺です!」

「さっき追い出した人は? あの人ではダメなのでしょうか?」


知実には、その違いが分からなかった。

当然、あの時の類以外の勇者を見た事もないからである。


それを察知したシスターは、苦笑しながら答える。


「あれはダメです……勇者とは名ばかりの屑です……私は様々な人間を見てきましたが……あれほど無神教で自分こそ天才だと痛々しく思っている者が勇者とは誰も認めませんよ」

「そっそうですか……」


シスターの目が、何処か真っ黒になっているように感じた知実は、これ以上深入りするのを止めた。


「そしてもう一人は西院円惑と呼ばれる者です」

「!! さいえん……まどですか……」

「はい……どうかしましたか? まさか! 元の世界で何か因縁が! 彼も異世界人と聞きます!」

「えっと……その……」


シスターは、少し前のめりになりながら質問したせいか、知実が委縮してしまった。


「す! すみません! そうですね! 誰にでも話したくない事はあります! ごめんなさい!」

「いえ! 気にしないでください!」


そして、シスターは話を切り替えた。


「さて! 聖女様には新たな仲間とそして装備を整えましょう! その為に今日は休んでください! お疲れでしょう?」

「あ……はい……ありがとうございます……何から何まで……」

「いえいえ、聖女様を快適に過ごさせるのが私達の役目ですから!」


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「おらあ! この偽勇者っがああ!!」

「うああ!! 何だよお前等! この勇者である僕にすることかあ!」

「ああ? 何言ってやがる……テメエが勇者を語んじゃねえってシスターも言ってただろうがよおお!! それにテメエみたいな汚ねえ奴が勇者ならこっちから願い下げだ! テメエはどうせ元の世界では上手くいかない落ちこぼれか何かだろうが! テメエみたいなのがワンチャンあると思ってんのか! あるわけねええだろうがよお! テメエは一生這いつくばりながらゴミの様に死んでしまえばいいんだよ! そうだな! 死ぬ時は肉片を撒き散らされながら魔物の餌にでもなればいいじゃねえのか!! ギャハハハハハハハハ!!」


類は、自分を森に捨てた御車に反論するが、罵倒されてその場を去られた。


「ううぎぎぎぎぎぎぎ!! うぐいいいあいいいああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


類は、最初は歯を食い縛りながら呻くように声を上げるが、やがて我慢が出来なくなり、怒りの絶叫を上げる。


「なんだよそれえええ! おかしいだろうがよお!! ってか天山有志って誰だよ! 気持ち悪いいなあ!! くそおおがあああああああ!!」


地団太を踏みながら、何とか込み上げる怒りを分散させた。


「はあはあっはあ」


そして、心を何とか落ち着かせながら、類は考える。


「そうだ……これはハズレ枠の物語なんだ……俺だってなろうやラノベは読んでんだよ! 知ってんだぜ! 俺みたいなのが本当は凄い奴で俺を馬鹿にした奴等を見返すという勧善懲悪な主人公として活躍出来んだよお! 今に見ていろよあいつ等ア! 俺が凄くなって後悔したところを目に焼き付けて悔しがらせてやるうう! そして言うんだ! テメエ等のような人を見かけで判断してごみのように捨てた奴の言う事なんて聞くか! 精々一生俺を馬鹿にした事を後悔して絶望するんだなあってなアあ!」


そして、そんな罵倒を言いながらも、類は自身の欲望が湧き出る。


「そうだなああ……もし助けて欲しければ、お前等の前で聖女様と性行為させてくれたら考えてもいいって言ってやる! 奴等の目の前で聖女を性女に変えてやるう!! そして馬鹿にしたシスターは後ろか……」

「ぐらああああああ!!」


類が、シスターに対して後背位プレイをして、獣のように泣かせてやると言い終わる前に、後ろから食虫植物のような生き物が現れて、類を頭から上半身を齧り付いた。


「うがあああああああああ!! あああああああああ……あああああ……」


類は、噛みつかれながら食虫植物に左右に勢いよく揺さぶられながら小さく悲鳴を上げる。

そして、もう一方からもう一匹の食虫植物が現れて、今度は類の下半身に齧り付く。


そして、二匹が引っ張り合って類は上半身と下半身が引き千切られた。


「あがば……ばあはあ……」


小さく吐血しながら類は、痙攣を起こしながら小さな意識の中、激痛に苦しめられる。

そして、食虫植物はそんな類を口の中に落とすように飲み込んだ。

そして、二匹はワナワナと震え出す。


「んんんんんん!! オイシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


そして、地面からプランが嬉しそうに飛び出た。


「やったよ惑! 成功だよ! 食虫植物のスキルを完全に使いこなしてるよ! プラン天才で可愛い?」

「うん、天才で可愛いよ」

「そうだねえ、プランちゃん」

「プランちゃんマジかわ!!」


惑とイネとエレンは、プランの頭を撫でた。

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