記録291『猫パンチ』
「これはカンジダの分!!」
「ううぐうううううううう!!」
血を吐き散らしながらボロボロになっていく神。
最早無抵抗で、イネの攻撃を受けざる負えないぐらいの状態であった。
「ぐぞおお……こんなああでいどおでえええええ」
「A・B型ウイルスの分!! 両方くらええええええええええええええええええええええええ!!」
イネは、両手で拳を左右から挟む様にパンチを繰り出す。
元来、そんな力の入らない方法を取れば、威力すら落ちる。
しかし、イネの本領は猫パンチである。
ネコの行う猫パンチは、基本撫でる程度ではある。
しかし、それはじゃれたり遊び半分だった時の話であり、元来攻撃の為の猫パンチは、小鳥や鼠等の小動物を気絶させるほどの威力を持っている。
現在、イネの拳には、怒りと悲しみ、そして性病達の想いが乗っている。
少年漫画でも、大した戦闘力を持っていない主人公が突如怒りによって目醒め、そして強力な拳を振るい相手を倒す事が出来たり、倒せなくとも相当なダメージを負わせる事が出来る。
イネもその理論が、全く関係ないとは言えなかった。
生き物の想いが強ければ強い程、散ったの者想いを乗せた拳には魂が宿り、その分力が増すといった現象が起こりやすい。
いわば、イネの猫パンチは、神を殺す為に向ける、興奮、攻撃による猫パンチであり、しかもそれを挟む様に行う事で、威力を閉じ込めようとしていた。
「不味い! 不味い不味い不味い不味いいいいい! こんなのを喰らえば! 私ですらとんでもない事にいいい!! 早く! はやくなんとk……gぶああああgぶあああgぶああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
言っている間に、神の頬は両猫パンチによって挟まれた状態で喰らってしまった。
威力が閉じ込められ、右にも左にも逃げる事が出来ず、神の歯はボロボロにヒビが入り崩れた。
「がばばgばgばああああああああああああああああああああ!」
「はあはあはあ」
「ごbbっばあああ!! べいどおふぁえれえええええええええ! ばげるがあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
そして、神は悲鳴を上げながらその場で倒れた。
「ばがなあああ……こんばああああ……ごんばあああああ」
「はあはあはあ……うう!!」
しかし、イネも限界であったのかその場に倒れ込む。
「僕には、仲間がいた……皆が居た……勝ったよ」
そして、亜空間は消えて行く。