記録285『真・時間稼ぎ』
「やあ！ 初めましてかどうかも分からないけど……西院円惑だよ！」
「フン、ゴミが……貴様など人間共が身勝手に作り上げた最悪の召喚だ……勇者の御供にでもという理由でだけだ……そんな程度の低い金づる程度にしか役に立たないというのに……ここまでの下種がこのような事態を生むとは……私の失敗だ……人間共なんぞにあの召喚の改良を許可したのが間違いだった……」
「それってペプリア国の事？ 姫様可哀そう」
惑の煽り文句に、神は怒りを覚える。
「貴様！ ペプリア国は関係ない！ その召喚は貴様のような錬金術師が勝手に作り上げたもの！ だからこそ私は錬金術師を詐欺師として人間達に教え貴様等のようなゴミを排除しようとしたのにも関わらず！ 貴様等はウジや鼠、ゴキブリの様にしぶとく！ そして常に勇者の邪魔をする！ 召喚を勇者だけにしようとすれば錬金術師以外には分からないように作ったパスワードによる解除方法！ 何と小賢しい！」
「あっはっはっはっは！！」
惑は、思わず大笑いする。
「あああ！ 笑った笑った！ さてと！ 本題に入ろうか？ 君がここに来る事を待っていたよ」
「！！ 何だと……」
「有志の不死身性……君も一枚嚙んでいると思ってね……完全に殺し切る方法その1は有志を追い詰めて君を僕達のいる世界に引き釣り出す事だったんだ……」
「！！ フン、そんな程度で勝ち誇れるとはな……左がなくなった状態でどうするつもりだ？」
「うん？ 時間稼ぎ？」
「ぶ！ はははあっははああはははははは！！ 貴様！ 何を言い出すかと思えば！ 時間稼ぎ！ 時間稼ぎだと！ まだあの実験体が出来ていないの？ まあどうせ出来ないだろうから放っておいてもいいのだろうが……フン、今のうちに潰すか……」
すると、神は手を翳す。
「ほう、どうぞご勝手に？」
「邪魔立てしないとは……罠だな？」
「え？ ないけど？」
「フン、騙されるわけがないだろう……貴様に限ってな……」
「ふーん」
惑は、首を傾げながらも、神の言葉を聞いて取り敢えず頷く。
「じゃあどうする？」
「当然、貴様を殺してからだ」
「させないよ」
その時、イネとプランが飛び込む。
「私とプランちゃんを忘れちゃあだめだよ！」
「そうだそうだああ！」
「っく！ 貴様等……貴様等は許さん……天山有志を誑かす下劣の仲間共め……」
「おいおい、プランもイネも、天山有志が助けようとする二人だよ？ それを殺すのかい？」
「有志は優しすぎる……だから私がやる……有志が正義を貫くのならば私は汚れ役でも構わん！」
そして、神はプランとイネに手を翳す。
「びやあああああああああああああああああああああああぶばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」
プランは、当然の様に弾け飛ぶ。
しかし、弾け飛んだ部分が地面に埋まるとそれと同時に根と葉を張った。
『わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」
「！！」
「そりゃあそうでしょ？ プランちゃんは寄生体だよ……殆ど昆虫のような生存本能の為体中に自身を隠している……それが栄養を得れば大量に増殖できる」
「プランちゃん凄い！」
「プランちゃん天才！」
「プランちゃん超絶可愛い！」
「プランちゃん！ 無敵いいいいい！！」
大量のプランが、神に迫る。
「っく！！ これは！」
「ほう、殺せても数十匹か……全部じゃないんだな」
「！！」
惑は、徐々に神の力の正体を分析し始める。
