記録275『俺が! しなければ!!』
「どうして……どうしてなんだ……」
有志は、英雄パアワアプの家までやって来た。
しかしそこは、もぬけの殻であり、誰一人いなかった。
『有志……すまない……奴等の私が思う以上に悪辣だ……信仰の減少、ロキの妨害によって思考すらも読めない……一体奴等が何をしようとしているのか……それすらも』
悔しそうな声を出しながら神は、有志に話しかける。
『だが! だが有志! 君だけなんだ! 君以外に魔王を倒せる……君の体以外に私が入れる者もそうそういない……だから諦めないでくれ! お願いだから……』
神は、絞る様な声で有志に懇願する。
人から召喚された有志ではあるが、実際は神が選び抜いて選抜された男である。
神が入り込むには、神と殆ど考え方や思考が変わらない者、神の思う正義がその者に存在する事が条件である。
しかし、ロキの父と同じ考え方をする者は、日本にほとんどいなかった。
その中で有志こそが、最適な体であるのだ。
「俺は……俺はどうすれば……シャイニャスの腹の子供も俺の子じゃなくて……恐らく全員……ミーシャ……いやイネが言っていたように俺の子じゃなくて……全部……ぜん………ぶうううう……」
『有志……悔しい気持ちは分かる……全て惑がイネを操っている……それも分かるね……』
「ああ! 分かっている! ミーシャは……イネにされて無理矢理……苦しいはずだ……悔しいはずだ……それなのに……俺は恨まずにはいられない……どうすれば……一体どうすればいいんだあああああああああああ!!」
泣きじゃくりながら地面を何度も叩き付ける。
『有志!! それ以上は!』
「仲間も! 愛する者も! そして子供までも犯された……こんな……こんんああああああああああ!!」
『っく……』
有志は、絶望に叩き付けられた上、精神崩壊が始まっていた。
『不味い!! 有志! それ以上は! それ以上は憎しみに汚染されてはダメだ! それ以上はああああ!!』
「ぐっがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
有志の中から、邪悪なドス黒い感情のオーラが溢れ始めた。
『有志! 有志いいいいいいいいいいいいいいいいい!! 私の声を聞け! 聞くんだあああああああああああああああああ!!』
神も、このままでは有志が闇落ちしてしまうと恐れ、何度も声を掛け続ける。
しかし、感情の暴発が止まらず、徐々に体すらも邪悪な色に染まり始める。
そんな時であった。
「うううじいい……うううじいいい……べえろおおおお……べえろおおおお」
闇に飲まれつつある有志を、シャイニャスだった者が、歪な状態になっても尚、股を摩っていた。
それと同時に、有志の股間は膨れ上がった。
「シャイ……ニャス……?」
『シャイニャス……其方……まさか……そんな姿になっても尚、有志への思いが……』
シャイニャスだった者のこれは、こんな形になるまでに行っていた癖、云わば反応である。
しかし、有志にとってはこれで十分であった。
「ああ……そうだな……俺にはしなければいけない事がある……あの時ファリルナちゃんだって拒んだ振りをしただけだ……本当は苦しくて苦しくて……逃れたくて逃れた先に俺のここを望んだに違いない……」
『有志……』
「神様もありがとう……このまま闇に飲まれるところだって……でも大丈夫……シャイニャスのお陰で俺はするべきことが分かった……いやしなければいけない事が!!」
決意めいた表情で、有志はまっすぐ前を見る。
「そう! 俺がするべき事! それは! S〇Xだ! 世の女性全てをS〇Xして! 俺の愛と正義を与えて上げる事なんだ! そして俺の子孫でこの世界を作れば! 誰も悪い事はしない! 皆が正義の為に生きる! そうに決まっている! 俺がこの世界を作り替える! 俺の聖剣とここで! まずは劣等遺伝子共を全て葬り去る!! そして犯された女性達は全て俺がS〇Xして清めて上げればいい! 攫われた子供だってもし女の子なら俺がS〇Xしてあげればきっと! きっと全て上手くいく!!」
『!! そうだ! 有志! お前は私が認めた者! 人類は時を遡れば全て一つの種である! 有志にはその資格がある! さあ! 有志! お前の手でこの世界を変えるんだ! 私が認めた正義でこの世界を救ってくれ! 救世主!』
「ああ! 分かっているさ! 全部俺に任せてくれ!」
有志は、闇落ちせずに済んだ。
作者『計画通り、闇落ちせず変態堕ちした』




