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記録265『昔話』

惑は、取り敢えずアワホの妹を助ける為に、アワホの案内でファリルナの元へと向かった。


「親父が死んだ後あの家は俺とファリルナで暮らしていた! もしあの勇者が向かうのが元英雄の親父の所ならファリルナが危ない!」


アワホは、ファリルナの心配で仕事に集中できない様子でもある。


「さてと、イネの足を使って向かうとしよう」

「ふ、馬車馬プレイか……悪くない……悪くないぞ! もっと僕を」

「はいはい、行きますよ!」


惑の合図で、イネは走り出す。


「その間に君がどうやって英雄を殺したのか聞いても良い? 後学の為にも」

「?? ああ、良いぜ」

「俺も協力したから説明するよ」


そして、バワカとアワホの話を聞きながらファリルナの元へと向かう。


----------------------------------------------------------------------------------------


あれは俺達がまだ5歳の頃だった。

父の名は、パアワアプと呼ばれた男であり、母は親父が災厄の龍を滅ぼす時についていた魔法職の女性と結婚したらしい、名前はナメコアと呼ばれていた。

パアワアプは、災厄の龍を倒したことにより報酬を当然貰った。

額は詳しく知らないが億の聖銀貨を貰ったらしい。

最初こそは、親父も


「俺は! 新しい時代の英雄! 勇者が居ないなら俺が英雄になろう! そして皆の平穏を必ず守って見せる!!」

「きゃあああ! パアワアプ様あ!!」

「カッコいいい!」

「可愛いわあ」


パアワアプの力強い言葉に、女も男も悦んで聞いていた。


「そして君だけが俺の愛する女性だよ……ナメコア……」

「パアワアプ……凄く嬉しい……」

「羨ましい!」

「でも不思議と嫉妬しないわあ!」


そして、ナメコアもパアワアプに相応しいと思われるぐらい美人で、有名な魔法使いであった。


「これから! この世界を勇者の代わりに俺が守る! 俺がいる限りこの世界の安寧は約束する!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


皆、その言葉を信じ、愛し、喜んだ。

当然報奨金だけでなく、更なる支援金がパアワアプに送られた。

パアワアプは、それだけ信頼に足る存在であり、実力を兼ね備えており、そして何より人望に優れていた。

当然……



そのような人格に優れた人間も、大量のお金が送られれば変貌した。


英雄は、どんな魔物にも負けず、どんな魔族にも負けず、どんな悪魔の誘惑にも負けなかった。

しかし、金という魔物には勝てなかった。


魔物や魔族は、力と技術を持てば勝てる。

悪魔も、地位や名誉、金銀財宝も与えようと言われる。

どんなことでも叶える事が出来ると言われる。

だが、結局のところ代償が必要である。


しかし、金は違う。

金は減るだけで、払えば当然貰える。

しかも支援金が湯水のように送られてくる。

その生活を送れば、どんな人間も金銭感覚が狂ってしまう。

それは、いつしか当然となり、必然という考え方へと歪める。


そこに、歪んだ心が生まれてしまうと言っても過言ではない。

体験する前では、耐えられた事でも、体験した後の快感と喜びを耐える事は出来なくなるのである。


「おおい! もっと酒持って来おおおい!」

「はい! 喜んで!」

「ねえ~英雄様あ~、最近発売された高級バックと宝石欲しいなあ~」

「おおおお! 買って上げるよ! 俺の心は、パンパンに買って上げるよ! その代わり……ここをパンパンさせてええ!」

「やだああ! 英雄様の剣裁き鋭すぎいい!」


日常的な不倫、豪遊。


「おらあ! 糞が! 俺を誰だと思っている!! ゴミガアア!」

「ぐばあ! いだい! いだいよおおお!」

「死ねええ! お前は死罪だあああ!!」


日常的な暴行、殺人。


「ちょ! 英雄様! それを勝手に持っていかれては……」

「ああ! 俺は英雄だぞ! 英雄様の必要物資は融資するものだろうがよおお!」

「そ! そんなああ!」


日常的な強盗。


「おらあ! おらああ! 俺の剣裁きを喰らえええ!」

「いやああああああああああああああああああああああああああああ!」

「お前だって幸せだろ! 俺の種を貰えるんだからよおお! もっと喘げええ! ギャハハハハハ!」


そして、当然のように女を強姦していた。


そんな事を続ければ、どうなるか火を見るよりも明らかである。


「英雄パアワアプ……いやもう英雄でも何でもない! このゴミが!」


国から怒られる。

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