記録242『村の掟』
『聞かなかった事にしよう、さあ、答えを聞こうか?』
ロキの父は、少し怒気の籠った声でおっぱい村の女達に問う。
「!! ……」
一人の女性は、恐怖して震え上がる。
目の前で仲間達が、残酷な死を遂げていく。
目の前で村長の破裂した肉片が顔に掛った。
それだけで、彼女は最早限界であった。
『おや? どうやら彼女は考えを改めたようだ……素晴らしい……』
震える女性を見て、皆少し悔しそうにする。
しかし、その者にとって村の掟に拘っている暇などなかった。
「私は……私は……」
『うんうん』
「私は!」
神の顔を見て、嫌悪の表情を露わにする。
「やっぱ無理です……生理的に……ぶば!!」
恐怖より、嫌悪の想いが勝った。
嫌悪に従った結果、彼女は死んだ。
『もう一度問うぞ? 私の寵愛を受け入れ信仰し、体を重ねろ……さすれば、君達の心は浄化され救われる、悪童ロキの薄汚れた信仰から脱却できるのだ……これ以上の喜びはあるまい』
しかし、それを真っ先に拒んだのはパーリズであった。
「やだ! 私の貞操はロキ君に捧げるって決めてるんだもん!!」
『君はまだ子供だ……ロキがカッコ良く見えたのだろう……あの汚らしい奴なんかより……我の方が其方を素晴らしい女性へと導く事が出来るぞ?』
「オッサンが子供に劣情とか……このロリコン!! ぶばああ!!」
「いやああああああああああああああああああああ!! パーリズううううううううううううううううううう!! パーリズううううううううううううううううううううううううう! ロキ君と私で3Pするって言ったじゃない! いっぱいたわわで喜ばすのが夢って言ったじゃないいいいいいいいいいいいいい!!」
デカパは、涙を流しながらパーリズの死体を揺さぶる。
神は、デカパに優しく囁く。
『可哀そうに……全てロキのせいだ……ロキさえいなければこんなことにはならなかった……全く許せん! 安心せよ……私がロキを必ず討ち取る! 任せろ!』
「はあ! 殺すぞ! ロキ君に手を出して見ろ!! 死んでも貴様を滅ぼしてやるからな!! ぐ!」
デカパは、いつの間にかバラバラに切り刻まれていた。
「ああ……ああああ」
しかし、そんな状態でも未だに生きている状態であった。
「デカパ!! そんな! 残酷すぎる!!」
『全く! ロキめ! 許せん!!』
「?? 僕何もしてないんだけど?」
『黙れ! 誰のせいでこんなことになっていると思っている!! 貴様がこの村を穢したせいだ! 全部貴様のせいだ! 全て貴様が悪い! それを……自分は何もしていないだと! ふざけた事を抜かすな! そうやって知らない振りをするのは止めろ! 下種め!!』
「下種はどっちだ……糞野郎が……」
『なんだと?』
おっぱい村の女性が一人前に出る。
「この村の掟を一つ教えてあげる……ここでは子供を大切にするの、重宝するの! 捨て子であっても生まれて父親が逃げたとしても……その子には罪もないし生きて欲しいからこの村で大切に育てるの……例えこの村全てを引き換えにしても……でも貴方は違う……自身の子を恥、汚点と罵り、挙句自分の不倫が悪いというのにその全てを子に押し付ける……そんなの許せるわけがない!」
『君達は勘違いをしている……全てロキが作った嘘に過ぎない……私のしている事は進行する者に寵愛を届けているだけだ……それを不倫などと……そんな穢れたものと一緒にされたくはない……』
「例え勘違い嘘だとしても子供を捨てる貴方とは反りが合わないわ……私達は子供の嘘も悪戯も腕白だと考えてそれでも見捨てず愛を注いで育てる……それが村の掟の一つ……そしてもう一つの掟それは……」
『?』
「子を捨てるような男はこの村にはいらないという事よ、そしてそんな男とは二度と寝ないの」
『何を矛盾な事を言っている……現に貴様等はおっぱい村で男達を呼んでいるではないか?』
「それはこの村に来た事のない者だけよ……一度でも捨てた男はこの村への立ち入りはすべて禁止しているわ……そして私達の結界術によってその選別を行っている……だから来るものは一度も子供を捨てた事のない者だけなの……例え外で捨てた者であってもね……ま……今のところ子供を捨てないでいる紳士は来た事はないのだけれど……」
この村に来る男は、その全てがおっぱい目的で来た屑男達であった。
でなければ、スモルバスにも男が愛していた。
しかし、それがなかった。
つまり、おっぱい目当てに来ただけの男に、今現在子供を育てる気概がなかった者だけだったのである。
「だから私達が貴方を愛すことは無いわ……さっき恐怖に負けそうになった子もそうよ、最後には嫌悪が勝ってしまった……それは村の掟が本能に刷り込まれていたからよ……彼女は最後の最後まで村人って事よ……貴方に負けることのなかった誇り高い子だったって事よ!」
『!!』
神は、顔を真っ赤にしながら、怒りに燃えた。