記録229『感傷に浸る』
「はい、撤収!!」
「わああああ!!」
「ちょ!」
惑の一言を聞いて、エリナールメールとエレンはすぐにその場から離れる。
「そんな……そんな……レティリア……レティリアあああああ……」
絶望に心が支配され始める。
『有志! 私は信じているよ!』『有志! 私は貴方が好き!』『有志! 信じているよ!』『私は有志が世界を救ってくれる! そう確信しているんだ!』『有志!! 頑張ってええええ!』『ああ……有志いいいい! 来てええええ!!』『有志……凄く良かったよ』『有志……私……皆と入れて幸せ』『皆で頑張ろう!』『いっけえええ! 有志いいいいいい!!』
そんな言葉が、頭の中を埋め尽くす。
レティリアの笑顔、レティリアの怒った顔、レティリアの照れ顔、レティリアの嬉しそうな顔、レティリアの悦び、レティリアの喜び、レティリアの信仰、レティリア信頼、レティリアの純粋な心等が溢れかえる。
「どうして……どうしてなんだ……俺は世界の為に……正義の為に……絶対の正義を示そうと……なのに……どうして……どうして……おしえてくれ……レティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリア……」
壊れたように、レティリアの名前を連呼し続ける。
聖剣を握り締めて涙を流す。
聖剣の刃を扱き始める。
何度の何度も名前を呼んで、手が血まみれになっても尚、ずっと扱く。
「ははは……レティリア……気持ちいか?」
涎を垂らして、目から光を失い、ただただ同じことを繰り返した。
「レティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリア……」
「あの……惑さん……もう終わり……」
「レティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリア……」
「……見なかったことにしよう……」
一人の竜人が、不味いものを見たと思いすぐさま離れようとした。
「西院円惑おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! このゴミムシがああああああああああああああああああああああああああ!」
「うわ! え! 何! ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
だが、竜人は間に合わず、細切れにされた。
「!! ゴミムシめ……また身代わりを……奴はどれだけ罪の者を……許せない……殺してやる! レティリア…! 任せて! 俺は正義の為に絶対にこの世界を救う! ゴミムシを確実に殺す! 絶対に! 待っていてね! レティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリアレティリア」
しばらく、有志のレティリア連呼は続いた。
さて、レティリアの名前は何回出て来たでしょうか?
正解した方は、おめでとう




