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記録228『キュートでラブリー』

イネは、すぐにレイシャやシャイニャスの方へと向かった。


「今から間に合うかなあ……」


しかし、イネは諦める羽目になった。


「うおおおおおおおおおおお!!」

「ぐはああ!」


他の竜人達と共に、シャイニャスやレイシャを倒す作戦ではあった。

しかし、竜人の殆どが既に気を失い倒れていた。

イネ自身、勝てる気もした。

しかし、惑の指示は違った。


『もし竜人達の殆どが戦闘不能になっているなら戦わないでね……勝てる勝負ではあるかもでも……例えそうでも一応は止めておこう……その時はねえ……そうだ! 戦闘を観察しておいて! 今後の参考に使用!』

「全く……惑って慎重何だか大胆何だか……」


呆れながらも、惑の指示に従った。


惑にとって、イネの強さをこれ以上ひけらかす事にはデメリットでしかなかった。

確実に勝てる戦いであれば問題ないが、どちらかが逃がされてしまえば、その情報を勇者である有志に報告され、更には神と呼ばれる者に戦法を理解されてしまう。

ただでさえ、パパンカツ達の戦いを聞いて、明らかに異常であるという事が考えられた。

ならば、ここは戦闘データを取っておくだけにしたかったのであった。


---------------------------------------------------------------


「エリナールメール……目を覚ましてくれ……それに……狙いは俺じゃないってどういう」

「簡単ですよ……私達にとって狙いは貴方の仲間……まあ作戦上多分シャイニャスさんとレイシャさんは殺せなさそうですけどね……強さ的には一般兵の竜人よりも強いでしょうし……流石に旅と修行を施された者達ですね……一応は優秀優秀」


エリナールメールは、嗤いながら二人を賞賛する。


「まあ確かに……神童と騎士団長って情報だからね……なら覚えも良いさ……ならばこちらから手を出すのは悪手だろうし……はあ……仕方ないかあ……でも……エリナールメールのお陰で一人は何とかなりそうだ」

「は! 何を言っている! ゴミムシ! 俺達は負けない! 貴様の様に人の命を……いや罪のない者達の命を何とも思っていないお前なんかに!」

「おいおいおい、罪のない人の命を何とも思ってないって……その言葉にはいつも疑問をおもってたんだよねえ……罪があれば何とも思わなくても良いのか? そもそもこの世界の法律を君が完全理解出来ているとは思えない……君の武勇伝はよく聞いている……君は君が罪だと思った者の命を奪っているそうだな……」

「ふざけるな! 奴等は人として許せない存在だ! 怠惰で強欲で! 惰性に生きている! 楽をしようとしている!」

「おいおい、人間が科学を発展させたのは楽をする為だろ? 何も間違ってないじゃないか……罪何て無いと思わないか? 強欲で何が悪い……強欲であったからこそ科学は発展し進化したんだ……その恩恵を君だって受けているだろ?」

「黙れええええええええええええ!」


有志は、怒りのままに惑に襲い掛かる。


「おおっと……危ない危ない」


しかし、読んでいたのか、簡単に躱される。


「糞! どうして当たらない!」

「うーん……もうちょっと捻れない?」

「黙れえええええええええええ!」


有志は、聖剣を振り回すというより怒りのまま物をぶん回すそこら辺の癇癪持ちの人間的行動に見えた。


「俺は違う! 人の為に! 正義の為にいつも生きている! 科学の恩恵と言ったな! 確かに科学の恩恵を受けているがそれは人が人を想い、正義を想って作り上げた物だけを使っているんだ! ゴミムシには分からないだろうな!」

「お前は何を言ってるんだ?」


惑は、やはり有志の言葉が理解出来なかった。


「俺は! 俺は正義の為に生きている! 今までも! これからもオオオ!」

「その正義に振り回されている間は僕に攻撃は当たらなそうだけど?」

「神様! 次は!」

「おいおい、神を頼るのか? エリナールメール」

「あいあい!」

「私出来る事ある?」

「ならこここうして」


そして、エレンはエリナールメールを手伝う様に術式に魔力を一緒に込めた。


『ゆう……じじzい……じいいいい』

「神様!」

「信仰や信託だってある意味では人間の魂に語り掛けている……なら魂の源である生体電機にジャミングを掛ければ聞こえないよなあ!」

「貴様あ! どれだけ神を冒涜する気だあ!」


有志は、神の助力を受ける事が出来なかった。


「今じゃない……神は今使うなんて格好悪いぜ?」

「糞おお!」


そんな時であった。

有志は、悍ましいほどの寒い悪寒に襲われた。


「なんだ……これは……」

「お! どうやら上手く行ったみたいだ」

「!! 何を! 貴様! 一体何をおおおお!」


すると、後ろの空に空気を切る様な音がした。

そして、悪寒と共に有志を振り向かせた。


『ゆううじいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! えぼお!!』

「ああ……」


空には花火が爆裂していた。


「ああ……魔王様……バファハイド様……見ておられますか? とてもキュートでラブリー花火ですよ……」

「レティリアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


そして、打ちあがった花火からレティリアだったであろう臓物が空から落ちて逝くのが見えた。

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