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記録221『忘れられない!』

「惑さん!」

「おお! どうした!」


イーシン、必死の形相で惑に詰め寄った。


「お願いだ! エリナーメリと私を合成してくれ! やっぱりイネに抱かれても忘れられない!」


イネは、やれやれとした表情で、惑に訳を話す。


「勃たないんだ」

「ありゃりゃ」

「多分忘れられないのが原因だろうね……やっぱり心に決めた人っていう感情は私には勝つことが出来なかった……」

「それはそれは……でも確かに獣人と竜人では交じりが増えるか……そう考えると竜人単体の受精卵の方が……」

「私の存在価値……」

「ある意味ではイネさんのお陰だと思って我慢してください……てかそれ以外で勝ち見出してくださいよ……」


イネの価値に関してはさておき、さっそく惑はシェリオンに、娘の遺体との合成許可を取りに来た。


「!! 何を考えているのだ……」


流石に、シェリオンからドン引きされた。


「お願いです! 娘さんの遺体をください!」

「壊れたか! イーシン!」

「まあそうなるよね」

「寧ろこれでOK出す方が引くわ」


イネとエレンは、引き攣った表情で困り果てる。

すると、惑が前に出て話を始める。


「まあまあ、シェリオン様……お聞きください」

「は?」


二人は、惑でも無理だと考えて様子を見ていた。


「シェリオン様の気持ちは分かります……こんなことをするのは娘への冒涜であると思うのも無理はありません」

「当たり前だ……」

「しかし、こうは考えられませんか? 娘さんをお婿さんの中でいつまでも生き続けると」

「何だと……」


シェリオンは、生き続けるという言葉に反応を示す。


「確かに娘さんは死んでおります……しかし私の修復と合成を使用すれば遺伝子と体をイーシン様の一部としてエリナーメリ様が活かして貰えるのではないのかと?」

「そんな事が……出来るのか?」

「「おや??」」


明らかに、シェリオンの心が動いている。


「それに死んだと言ってもイネの実験結果を見ればもしかしたらエリナーメリ様の魂は遺体に残っているかもしれません……その魂を彼に合成すれば二重人格として生きる事が出来るかもしれません」

「!! また……エリナーメリに会えるのか?」

「可能性は高いです」


そして、シェリオンは立ち上がって涙を流しながらイーシンの手を握る。


「お願いだ……私の……私の娘……エリナーメリを……」

「!! ありがとうございます! お父様!!」


シェリオンは、イーシンと共に涙を流しながら惑に依頼した。


「了解」

「うわ」

「またあのヤバイ嗤い顔……」


惑は、何処か楽しそうであった。


---------------------------------------------------------------


「さてと、契約は取れたし……まずは遺伝子を取ってイーシンに合成して……」


惑のイーシン、エリナーメリ合成施術が始まった。


「はあ……私がしたかった」

「いつまで言ってるんですか? いい加減にしてください……気持ちの悪い」

「イネお兄姉ちゃんキモイ!」


エレンとプランが、イネを中傷しながら廊下を歩いていく。


「??」

「どうしたんですかイネ? 出来ませんよ?」

「いやそういう事じゃなくて……誰か通ったような……」

「? 誰も居ないよ?」

「うーん」


イネは、ふしぎそうにしながら気にしないようにした。


---------------------------------------------------------------


「シェリオン様! 完成しました!」

「本当か!」

「父上……」

「おお……おおお」


そこには、エリナーメリの姿があった。


「父上……私の中にはイーシン様も居ます……これが本当の共に生きるという事なんですね……」


何処か愛おしそうにしながら、エリナーメリは胸を押さえる。


「今……イーシン様に変わります」

「あ……ああ」


少し不思議そうにしながら見ていると、エリナーメリの姿は、イーシンへと変貌した。


「これは……」

「はい、お父さま……今なら私と彼女が二人でこの体に孫を作る事も出来ます」

「!! そう……なのか……もう妹のリュシロン以外望みはないと思っていたが……」


涙を流しながら、シェリオンは嬉しそうにイーシンを抱き締める。


「お願いだ……私に……私に孫を見せてくれ」

「はい!」

「父上!!」


二人で一人の体で、シェリオンに返事をした。


「いやー! 上手くいって良かったよ……分ってるよね?」

「はい」

「分かっております……」

「契約通り、一人目の受精卵は貰うよ……これは取引なんだから」

「はい」

「必ず」


イネは、少し寂しそうにしていた。


「惑……ゲスイよね……」

「何が? ちゃんとした報酬を貰うと伝えた後の契約だよ?」

「いや……それに……あれは本当にエリナーメリなの? 私の場合は勘違いの可能性があるって言ってなかった?」

「一応は間違いなくエリナーメリだよ」

「どうしてそう言えるの?」


惑は、嗤いながら答える。


「だって君の父親と母親と違って魂は少量ぐらいは残っていた……それを入れて更に脳をその残った魂で刺激したんだ……例え妄想上の二重人格でも彼の中にはエリナーメリはある……まあもしかしたら君の体にも両親の魂が残っていたからその状態なのかもしれないけどね……」

「うう……」


この世には様々な不思議がいっぱいある。

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