記録217『モンスター』
「ええほ！！ げほほ！！」
「うええ……きぼじわるい」
有志とやり取りをした、二人は気分が悪そうにしていた。
「大丈夫？ めっちゃ吐くじゃん」
惑は、半笑いで二人を見ていた。
「惑……ヤバいよあいつ……俺が本当の愛を教えて目を覚まさせるって……結局S〇Xじゃん！ アイツ基本思考がS〇Xだよ！」
「え？ それお前等が言える事なの？」
惑にとって、イネとイネママの言っている事と有志の言っている事の違いが理解出来なかった。
「違う！ 全然違う！ 私は子作りの為のＳ〇Ｘだけどアイツは人をそれで説得できると思ってるんだよ！！ 異常だよ！」
「？？」
それでも惑は、ピンと来なかった。
いわば、子作りを言い訳にレイプするイネと説得を言い訳にレイプする有志という言葉の違いだけである。
本質は完全に二人共同じなのに、それをはっきりと違うと答えられる。
「本質的に同じではあるけど……」
「違う！ 本質も違う！！」
「え？ ええ？？」
「なんていうか！ その……ただの説得じゃないというか！ これはママと私の本能的な部分で理解出来たというか……うーん……なんていえば良いのか……」
イネは、惑を納得させられる言葉が思い付かなかった。
「私が話すは……イネちゃん！ あのね、イネちゃんは説得という理由でS〇Xをしているという訳ではなくてね、有志がS〇Xをすれば穢された者が救われると思っているのよ！ つまりS〇Xは救いの一環であって、他の行為も有志にとって救いであればなんでも良いというか……」
「は？」
イネママの言葉でも、余り理解出来なかった。
「まああいいや、取り敢えず回収できたし」
「ちょ！ 話を聞いて！ 放置はまずい！」
「いや……でも君等では説明できないでしょ？ こういうのってね、理解出来ない事を何度もしても結局ややこしいとしか考えられなくて、本当に結局理解出来ないんだ……僕にだって理解出来ない心はある……だからきっとそれはそういうものなんだろうと考えているよ、まあそれでも理解出来るように今は僕にも時間が欲しい……何とか嚙み砕いて考えるから」
「うーん……そうだ！ エレンちゃん！ プランちゃんはともかくエレンちゃんなら！」
「そうね！ きっと大丈夫よ！」
二人は、エレンに話をしたい欲望だけを頼りに、拠点へと戻った。
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「おえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ！！」
エレンは、盛大に吐瀉した。
「あらら」
「……」
「……何かごめん」
二人は、エレンに対して謝罪以外の方法が思い付かなかった。
「何ですかそいつ……モンスターじゃないですか」
「そうなんだよ……モンスターなんだよ」
「まだ魔獣の方が良識があります」
「魔獣以下の勇者って……」
プランは嗤いながら俯く。
「おえええ！ おえええ！ おええええ！」
そして、吐いた振りをして遊ぶ。
「プランも出来る！ おえええええ！」
「ふむふむ、子供らしくてよいよい」
そして、話を忘れる為、エレンは作戦の話を聞く事にした。
「さてと、次の作戦はバザルさんの案内でドラゴニクスカントリーへと向かおうと思う」
「勇者もそこに向かわせたんだよね？ そう言えば何でわざわざ向かわせたの？ 出来たら会いたくないんだけど……あれは一刻も早く滅ぼした方が良いと思うし」
「？？ その為に向かわせたんだけど？」
「どういうこと？」
惑は、再び説明を始める。
「もちろん有志が強くなったことによって戦闘パターンの解析とそしてイネがドラゴンと交配して貰う為さ！ 種族って自身に危険が及ぶとそれと同時に種族保存本能が働くからその種を受精しやすいという考えがあるからさ！ だって生物ってピンチの時ほど運を運び込むでしょ！」
その言葉を聞いて、イネはゾッとした。
「おいおい、まさか私を本能から恐れさせる為に有志の元へママを送ったの？」
「うーん……それはたまたま貰えたものかと思ったよ、本来はイネママが他の種族の種を貰えるように送り込むつもりだったんだけど……仕方ないから危機本能からくる種族保存本能高めて頂く作戦へと変えるよ、エルフからはまた貰う約束もしているしその時はイネ！ お願い！」
「ええ……」
イネは凄く悲しそうにしながら、仕方なく頷く。
「子供達が……僕私の子供達があああ……」
イネがS〇Xをする目的は、子作りである。
その為に、沢山の者とまぐわった。
イネの本能は、命を落とし掛けた事によるその本能からくる保存であった。
そして、その為の快楽もイネは味わっていたのであった。
「それが奪われるなんてええ……」
「別に殺すわけじゃないよ？ エレンちゃんの依り代にするんだ……死ぬわけじゃない……人格が形成される前にエレンちゃんの恨みつらみを乗せる、いや……きっとイネがまぐわう者達全員の勇者への怒りが含まっている……それを操れるのは……それを支配出来るのはエレンちゃんだよ……ね！ エレンちゃん！」
「！！ はい……分かっていますよ……惑」
エレンは、口を拭きながらどこかドス黒い目の色へと変わる。
